米委員会、「中国の大学との協力関係制限すべき」 宇宙技術窃盗の可能性

2020/05/20
更新: 2020/05/20

米中経済安全保障検討委員会(USCC)が外部機関に依頼して行った調査によると、中国政府が海外大学との学術交流を通じて米の宇宙技術を盗んでいると指摘した。委員会は、政府は大学などの学術機関と中国の大学との協力関係を全面的に制限することを検討すべきだと提言している。

報告書は、米ジョージ・ワシントン大学北京理工大学によるシンポジウムの共催や2013年9月に締結された協力協定は、北京が中国と外国の学術機関の協力を利用して宇宙技術を盗み、あるいは北京の宇宙政策を進めようとする計画のひとつと分析する。

2016年6月、オーストリア・ウィーンで開催された「宇宙空間の平和利用に関する国連委員会第59回会合」には、世界各国の代表者が集まった。多くの参加者は会議の空き時間を利用して、会場からほど近いウィーン大学法学部に移動し、ジョージ・ワシントン大学の宇宙政策研究所と北京理工大学の宇宙法研究所が共催した宇宙政策のセミナーに参加した。

米国の宇宙政策と関連法を研究するジョージ・ワシントン大学宇宙政策研究所ヘンリー・ヘルツフェルド所長はVOAの取材に答え、セミナーの開催が成功だったと振り返った。ヘルツフェルド氏は「世界中の人たちが参加した。非常に良い議論がなされ、さまざまなテーマについての研究発表があった」と述べた。

報告書は、米国の大学や国立研究機関による中国の宇宙開発計画支援を禁止する法律を制定するよう促している。

ヘルツフェルド教授は、報告書内容が「極めて偏っている」と批判している。「このパートナーシップには金銭的な取引は含まれていない。宇宙空間の利用ルールについて議論するが、どちらか一方の主張を強く推進することはない」

ヘルツフェルド氏は、宇宙政策研究所は、宇宙技術の研究には関与しておらず、北京の関連技術の入手に協力することはないと述べた。

いっぽう、北京理工大学は「セミナーの開催と発表された研究成果が、国連宇宙空間平和利用委員会(COPUOS)での議論を前進させる可能性がある。わが大学の宇宙法分野の国際的な影響力を高めるのに役立つだろう」とアピールした。

ワシントンのシンクタンクであるヘリテージ財団の宇宙と中国の専門家である成斌(チェン・ビン)氏は、USCCの報告とジョージ・ワシントン大学のヘルツフェルド教授の立場は、中国が宇宙技術を盗もうとする際に米国が直面している大きな課題を示しているとした。

「中国のスパイ活動は各方面に及んでいる。ジョージ・ワシントン大学の宇宙政策研究所だけでなく、マサチューセッツ工科大学(MIT)、カリフォルニア工科大学などに在籍するすべての(中国人の)学生がスパイではないが、中にスパイがいる。」

米司法省は5月中旬、中国系アメリカ人教授でアーカンソー大学電気工学科高密度電子工学センター長のサイモン・ソーテオン・アン(Simon Saw-Teong Ang)氏を、中国政府とのつながりを隠していたとして起訴した。アン氏は、中国当局がハイレベルの人材を世界各国から招へいする「千人計画」のメンバーであることを申告しなかった。

米連邦捜査局(FBI)は、米学術機関に所属する学者や研究者に対して「千人計画」の関わりを調査している。

トランプ米大統領は、中国を念頭に、米国に来る留学生は「ほぼスパイ」と表現したと2018年に米紙ポリティコが報じている。トム・コットン上院議員も4月26日のフォックスニュースのインタビューで、中国からの留学生を重要な技術分野から除外すべきだと発言した。「中国人留学生がシェークスピアや合衆国憲法の成り立ちについて学ぶために米国にやってくるのは良いが、彼らに量子コンピュータや人工知能を学ばせるのは間違っている」

コットン議員と他の3人の共和党議員は5月7日の公開書簡で、特殊技能職ビザ(H-1Bビザ)の停止や、留学生が卒業後に米国で働くことができる「オプション実習プログラム」の制限などを求めた。

(翻訳編集・佐渡道世)