米NGO調査員がANTIFAに潜入、「デモ・暴力行為をトレーニング」

2020/06/09
更新: 2020/06/09

米国では5月末から、警察に拘束された黒人男性が死亡したことを機に、暴動や略奪が続いている。トランプ大統領は6月初め、暴動に関与したとして極左暴力集団ANTIFAアンティファ)」をテロ組織に指定すると表明した。ANTIFAに潜入し調査を行った調査員は、同グループは高度に組織化されているとした。

米調査ジャーナリストNGO「プロジェクト・べリタス(Project Veritas)」の潜入調査員は、6月4日に公開したビデオの中で、自分の経験や収集した情報について語った。調査員はカメラの前で顔を隠し、名前を明かさなかった。

動画によると、調査員は、ある年の7月にオレゴン州ポートランドのANTIFA支部に参加した。ANTIFAの担当者は、安全な電子メールを通じて同調査員に連絡し、白いTシャツを着て水筒を持って指定した場所に来るよう指示した。指定場所に行った調査員はその後、別の場所に連れていかれ「面接」を受けた。

「面接を受けた後、見込みのあるメンバーはANTIFAの戦略や戦術の必須講義に出席する必要がある」という。

講義は開店時間前の書店で行われた。参加者は自分の携帯電話を店のトイレに残すように要求された。外からの音を消すために、トイレの中で扇風機を稼働させていた。

ANTIFAのメンバーは講座で、暴力行為を密かに行う方法や、自分の身の危険を最小限に抑える方法などを教えた。

調査員が隠しカメラで撮影した講座の映像では、講師を務める一人のメンバーは「目立たないようにしてください」と警告した。「でなければ、金属のスパイク・ナックルの尖った部分に(仕込まれる隠しカメラで)顔写真が撮られてしまったら」「司法機関はこれらの写真を使って、暴行罪で私たちを起訴することができる」という。

この講師は、いかに攻撃の相手に大きな傷害を与えるかを教えた。「目をえぐる練習をしてください。目に傷をつけるのには、ほんの少しの力でいい」。乱闘だけが目的ではなく、相手に重傷を負わせることが重要だと強調した。

同調査員は、ANTIFAの正式メンバーになるまで1年半の「試用期間」を経験した。このビデオを公開する「かなり前に」、同組織を離れたと語った。

調査員の話によると、ポートランドのANTIFA支部は「ローズ・シティーANTIFA(RCA)」と呼ばれている。「この支部はより構造化されているため、会社のような組織だった。だから、RCAは外部資金、影響力、資源を使っているような気がする」という。

「ANTIFAのメンバーは、何らかの暴力を煽ったり推し進めたりすることに躊躇しない。メンバーは、事前にしっかりそのアプローチを計画するのだ」

「私たちは会議や講義で、デモやブラック・ブロック(Black Bloc)を行う前に、武器の詳細、所持品、装備について話し合う」

ブラック・ブロックとは、デモの参加者が同じ黒色の衣服、帽子、マスクなどをつけることだ。この作戦では、犯罪行為を行っても、犯人の特定を困難にするメリットがある。

「この目的は、外で危険なことをできるだけ安全に行うことだ」と隠し撮りした映像で別の講師が話していた。講師の横にあるプロジェクタースクリーンには、「Buddying up(二人組を組むこと)」についての説明内容が映し出された。スライドには、「相棒の気持ちに心を配り、必要に応じて落ち着かせたり、慰めたりするようにしてください」と書かれていた。

また、講義では、相棒が警察に逮捕されたとき、メンバーが「法的支援者」に詳細を伝えるよう求められている。「相棒がけがをした場合」は、メンバーが相手を撃退したり、救急車を呼んだりして、カメラでその状況を記録しなければならない。

調査員は、RCAの創設者がスウェーデンに移住した後、同支部は海外のANTIFA組織とのつながりを維持していると述べた。

大紀元はRCAの創設者に関する有力な情報を得られなかった。

ウィリアム・バー米司法長官は5月30日の記者会見で、「多くの地域で、無政府主義者や極左グループが抗議デモを画策し、扇動しているようだ。極左グループはANTIFAに似たような戦術を使っている。多くの人は他の州から来た」と発言した。

ニューヨーク市警の元本部長バーナード・ケリック(Bernard Kerik)氏は大紀元の取材に対して、ANTIFAはさまざまなウェブサイトで抗議活動の開始場所を管理し、指示を行っていると語った。同氏によれば、ANTIFAは米国内の40の州と60の都市で支部を持ち、各地の暴動に資金を提供している。

同市警のジョン・ミラー副本部長(情報・テロ対策担当)によれば、ANTIFAなどの外部過激派グループは、偵察員や衛生担当の医師を組織し、石や瓶、燃焼促進剤の供給ルートを管理し、支部の破壊活動に提供しているという。さらに、過激派グループは、暗号化された通信ネットワークを使って連絡を取り合っている。

共産主義を研究するトレバー・ラウドン(Trevor Loudon)氏は、ANTIFAは現在、米国に起きている騒乱の一部に過ぎないとの見方を示した。「米国にいる共産党のメンバーや社会主義政党は、最初から抗議活動や暴動に関与していた」とした。

(文・Petr Svab、翻訳編集・張哲)