米国務省報道官によると、テキサス州のヒューストン中国総領事館の閉鎖命令は、中国共産党が米エネルギー企業を標的にした妨害活動に関連しているとした。
米FOXニュースは複数の情報筋の話として、中国領事館は、南シナ海での米エネルギー企業に対する脅迫や威嚇に関わっているという。南シナ海の沖合でベトナムと油田開発を進めている米石油企業エクソン・モービルへの妨害活動を指しているとの話もある。一時、同社が南シナ海の領有権問題をめぐり中国からの圧力を受け、事業から撤退するとの報道が出ていた。
情報筋によると、妨害工作の中心的人物は、主にヒューストン中国総領事館に勤務していたという。
米国務省のモーガン・オルタガス報道官は7月23日朝、同メディアのインタビューで、ヒューストンの中国総領事館は米国務省の指示で25日午後4時までに閉館しなければならないと述べた。
また、報道官は「連邦捜査局(FBI)や司法省(DOJ)の調査で、ヒューストン中国総領事館は技術窃盗活動の中心地であることが、明らかになった」と付け加えた。
さらに、領事館と中国共産党の海外高度人材招致プログラム「千人計画」との関係についても言及した。領事館は、中国共産党がMDアンダーソンがんセンターのような一流の研究機関やヒューストン地域のエネルギー技術、技術企業から秘密情報を盗むため、中国人を渡米させたという。
「調査の結果、たった1つの事件で少なくとも10億ドルの窃盗事件が発覚した。中国共産党による米国の知的財産の窃盗を防止するために領事館閉鎖に踏み込んだ」。
報道官は、国務省は議会と緊密に連携しており、共和党も民主党も、中国共産党の責任を追及する方針で一致していると述べた。
21日、ヒューストンの中国領事館は閉鎖を通告され、すぐに機密文書を処分する作業に取り掛かった。領事館敷地内で書類を燃やす映像がメディアによって報じられた。
トランプ大統領は22日の記者会見で、ほかの中国領事館公館についても閉鎖を求める可能性に言及した。
米中関係「急速なエスカレート」
「米中の緊張が急速に高まっている」と、有力シンクタンクの外交問題評議会(CFR)のアジア研究上級研究員ミラ・ラップフーパー氏は23日、ブルームバーグに語った。「72時間以内の領事館閉鎖命令は、中国が重大な法律違反を犯したことを意味する。非常に強い外交的対立を暗示している」と付け加えた。
ホワイトハウスのケリーアン・コンウェイ大統領顧問は、トランプ大統領は、14万人以上の米国人が死亡した中共ウイルス(新型コロナウイルス)の情報を隠ぺいした中国共産党に、強い不満を持っていると記者会見で述べている。「大統領は、中国との間で完全に強制力のある貿易協定の締結に取り組むが、他方では(安全保障問題で)厳しい対応を取ることも明確にしている」とした。
ティム・スコット上院議員は、領事館閉鎖は安全保障のために「正しいこと」だと述べた。「中国共産党は私たちの技術、知的財産、個人情報を盗んでいる。今ではコロナウイルスワクチンの研究を盗み、混乱させようとしている。私たちは行動を起こさなければならない」と語った。
(翻訳編集・佐渡道世)