インド政府は6月末、ティックトック(TikTok)やウィーチャット(微信、WeChat)など、中国企業の作成したアプリ59本の使用や発表の禁止を決めた。インド国内報道によると、7月後半にも、政府は追加して中国アプリの禁止を決定したという。
インド紙ヒンドゥスタン・タイムズは7月24日付で、同国電子情報技術省が中国製モバイルアプリを追加して禁止することを決定したと報じた。「Hero Lite」「SHAREit Lite」「Bigo Lite」「VFY Lite」などが対象になるとみられる。インド当局者は同紙に対して現在、これらのアプリはGoogleやAppleのアプリストアから削除しているとした。
中印国境紛争の勃発を受け、インドの電子情報技術省は6月29日、インスタントメッセンジャーアプリ・ウィーチャット(微信、WeChat)や短編動画アプリ・ティックトック(TikTok)など59の中国アプリを禁止したと発表した。
7月26日のインドメディアによると、同日からWeChatにログインできなくなったという。画面には「インドの法律に基づき、現在WeChatのサービスは利用できず、今後のサービス復旧に向けて関係当局と連絡を取っている」と通知が表示される。
インド政府による中国アプリの禁止令について、民間企業は歓迎しているという。7月、ドイツ官製紙ドイチェ・ベレは現地住民の話として「TikTokのような中国アプリが消えてよかった」「インドの現地アプリを使えばいい」「インドの経済発展に役立つ」などの肯定的な意見が多いと伝えている。
TikTokは中国の短編動画アプリ「抖音」の海外版。北京拠点の企業バイトダンスが提供している。
米ホワイトハウスのマーク・メドウズ大統領首席補佐官は7月中旬、国家安全保障上のリスクがあるWechatやTikTokなどのアプリを、国内で禁止する可能性を明らかにした。いっぽう、インドは、TikTokがインドの主権を脅かし、国家安全保障と公の秩序を危険にさらすと明言している。
インドの地元小売業者はドイチェ・ベレの取材に対し、TikTokを禁止することは良いことであり、「中国の浸透をどれだけ許すかは私たちにかかっている」と述べた。
6月中旬、インドでは「中国アプリを削除するアプリ」が人気を博し、2週間で500万人以上がダウンロードした。その後も「中国アプリ検出アプリ」が好評を得た。国境での衝突ののち、インドでは中国製品をボイコットする動きが高まっている。
現在、インド政府は国家の安全保障を維持するための取り組みを強化している。7月、インドは国境を接する隣国の企業がインド政府の公的契約の入札に参加したい場合、インド外務省と内務省による政治的・安全保障上の審査を経ることを条件に加えるなど、新たな貿易ルールを発表した。
(翻訳編集・佐渡道世)
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