【独自】大慶市内部資料、中国当局による海外物資大量調達の実態

2020/08/21
更新: 2020/08/21

中国黒龍江省大慶市の情報筋がこのほど提供した複数の内部資料は、中国当局が国内で中共ウイルス(新型コロナウイルス)の感染が拡大した当初から、世界各国で医療物資を買いあさり、かき集めていたことを改めて明らかにした。当局は、海外の中国企業、華僑組織、留学生などを動員しただけでなく、各国の企業や姉妹都市の政府にまで物資の提供を強要した可能性も浮かび上がった。

情報筋は、今年2月の「大慶市外事弁公室(国際交流担当部署)の新型コロナウイルス対策工作報告」を大紀元に提供した。同活動報告書は、同弁公室が海外で医療物資を調達した詳細を記述している。

報告書によると、1月29日夜8時半ごろ、大慶市外事弁公室は、何忠華市長から「国際防疫物資保障という任務を成し遂げるよう」との指令を受けた。このため、同弁公室は、11カ国にある200以上の企業や市民団体に連絡した。この結果、市防疫当局の物資調達チームは、防護服2000着とN95マスク1021枚を、県・区などは10万3000枚のマスクと防護服2800着をそれぞれ調達できたという。

報告書では、大慶市外事弁公室は「北東アジア民間組織」「一帯一路沿線民間組織」「国内外民間組織」「公益民間組織」を通して各国で物資をかき集めたと示している。

そのうち、大慶市外事弁公室は「北東アジア民間組織」を通して、主に日本と韓国から物資を集めた。同弁公室は当初、韓国企業や日中経済協会瀋陽事務所、国内外のサプライヤーの担当者ら120人余りに問い合わせなどを行った。また、弁公室は「日本の株式会社、康養倶楽部による防護服の提供に協力を行った。日韓の民間組織、社会団体や関連会社に働きをかけ、物資の調達ルートを開拓した」と示している。

しかし、「株式会社康養倶楽部」の詳細は不明だ。

また、同弁公室は「一帯一路沿線民間組織」を通じて、具体的に「アフリカから2000着の防護服を仕入れた」「カンボジアなどの民間組織に問い合わせをした」「イタリアの医療用防護服のサプライヤーに交渉した」「マレーシア企業、緑野集団(Country Heights Holdings BHD)を介して、マレーシアの医療用手袋サプライヤーに連絡した」「東盟(東南アジア諸国連合)中小企業委員会の陳利傑会長に打診」「米国企業総商会の林明華氏、元大慶市駐フィンランド経済貿易代表の丁暁石氏や、オランダ、アフリカ、マレーシア、香港などの各国・地域の企業団体、企業家、海外留学生などに連絡した」。

大慶市外事弁公室は、さまざまな「国内外の民間組織」を利用して、各国で医療物資を買いあさった。例えば、世界青年商工人協会深セン支部、アフリカ貿易促進会、日本科学技術協会、留学中の首都経済貿易大学の学生、国内外のサプライヤーにコンタクトを取り、不足しているN95マスク、防護服などの調達を行った。「日本、韓国と中国国内の約30社の企業と団体に、物資調達について交渉した」。

報告書によると、同弁公室は「公益民間組織」を通じて、「寄付物資を受け取った」。韓国の「西進株式会社」「CDQ Global」などの企業と個人が大慶市に使い捨ての防護服800着を寄付した。マレーシアの「福建社団連合会」と「署理総会」の会長である陳康益氏の後押しを受けて、同国の手袋メーカー「Top Glove(トップグローブ)」は、2月末に大慶市に医療用手袋5万組を寄付することを承諾したという。トップグローブは世界最大の医療用手袋メーカーだ。

大慶市内部資料の一部(大紀元)
大慶市内部資料の一部(大紀元)

他の調達ルート

一方、大紀元が情報筋から入手した2月12日付の大慶市内部資料では、海外での物資調達における「大慶市人民対外友好協会」の役割に言及している。

同内部資料のタイトルは「民間外交優勢を十分に発揮し、感染拡大抑制という人民戦争に勝とう」である。

資料によると、「大慶市人民対外友好協会」は、「日本株式会社康養倶楽部の阿部氏」「大慶市出身で韓国に留学している王秀臣博士」「元黒龍江省外事弁公室処長の劉国軍氏」らを通して、日本と韓国で防護服や医療用マスクを調達した。また、「日本上海協会の企業家の于維君氏、日本経済協会瀋陽事務所所長の趙焱氏、日本医療案内人の邵旭宇氏、元駐日本経済貿易代表の徐静波氏、日本未踏財団の林剣輝氏などにそれぞれ連絡を取り、防疫に必要な物資を調整した」という。

大慶市人民対外友好協会は、米国の「北カリフォルニア州東北同郷会」にも要請した。これを受けて、同郷会の武逢平副会長が現地の華人に対して、医療物資の寄付、または調達に動員した。

「大慶市人民対外友好協会」」は「中国人民対外友好協会」の傘下機関だとみられる。「中国人民対外友好協会」は1954年に設置された。民間の市民団体と宣伝しているが、実際には中国当局の管理下にある。

一方、大慶市の内部資料では、同市が海外の「姉妹都市」関係を利用して、医療物資を大量に仕入れたことが分かった。

大慶市内部資料の一部(大紀元)

大慶市外事弁公室の2月8日付の内部文書によると、同弁公室は、物資調達の可能性について7つの姉妹都市を分析し、最終的にカナダのカルガリー市、ロシアのチュメニ市、韓国の忠州市に絞った。その後、同弁公室の担当者は、直接、チュメニ市と忠州市に声をかけ、物資の購入または提供に協力するよう求めた。

この内部文書は、チュメニ市での物資調達について詳細に紹介している。

中国当局は、大慶市のみならず、各地方政府の外事弁公室に同様の指示を下したとみられる。中共ウイルスのパンデミック初期に、中国当局が世界各国で医療物資をかき集めた結果、各国では防護服やマスクなどが著しく不足し、感染のさらなる拡大を招いた。

中華全国帰国華僑連合会(中国僑連)の公開情報では、今年1月31日までに、米国やドイツ、オーストラリアなど10カ国以上にある30の華僑団体が、マスク54万9280枚、防護服6万8525着、医療用ゴーグル4036個を寄付している。中国僑連は、中国人民政治協商会議の管轄にある。

また、中華全国工商業連合会によれば、2月17日までに、海外の183の商業団体の協力と提供で、マスク約1021万6800枚、医療用手袋約96万4200組、医療用防護服約13万4900着、医療用ゴーグル約4980個、消毒液500トン以上を集めたことが分かった。

(翻訳編集・張哲)