報道によると、中国の通信技術大手・華為技術(ファーウェイ)は最近、自社スマートフォンブランド「HONOR(オナー)」事業を売却する方向に動いており、買い手との交渉を進めている。最終的な金額は150億〜250億元(約2250億〜約3750億円)ほどだと予想されている。
ロイター通信は10月14日、米国の制裁により部品調達に困難を来たしているファーウェイは、事業調整を余儀なくされていると報じた。現在、神州デジタルおよびその他の競合企業とオナーの売却を協議中だという。
売却交渉では、神州デジタルのほか、スマートフォンメーカーのTCLやシャオミ(小米)グループも含まれる。
報道によると、売却される事業資産にはオナーブランドや研究開発部門、サプライチェーン管理事業が含まれる可能性がある。取引は現金で行われるとみられる。
オナーは若者層を狙った華為技術の低価格ブランド。自社のウェブサイトや他の小売業者を通じて東南アジア、欧州で販売されている。シャオミ、Oppo、Vivoと競合している。
ある消息筋は、ローエンド携帯電話の利益は期待薄で、昨年の販売収入が約700億~800億元であったのに対し、純利益は50億元に満たなかったという。
いっぽう、華為技術がオナーを売却するというニュースに疑問を投げかける声もある。
フリーランスの関係アナリストは、華為技術にはオナーを売る動機が見つからず、メリットは少ないという。事業が売却されても、米国の制裁が解除されるわけではない。また、オナーの技術や研究開発はすべてファーウェイと共有しており、華為から離れるとブランド価値が下がり、さらに販売価格は下がると見込まれる。
米政府は、華為技術に対して、技術や知的財産の侵害、ユーザー情報の不正入手、中国共産党と人民解放軍とのつながりが強いことなどを理由に取引禁止令を9月15日に発効した。米国の技術やデバイスを使用するすべての企業が華為技術に販売するには、審査を経て特別な許可が必要になる。
台湾もまた、米国の制裁に歩調を合わせて、半導体ファウンドリー(受託生産)大手の台湾積体電路製造(TSMC)は9月、華為技術の新規受注を停止した。さらに、問題視されていたTSMC技術者が華為技術など中国企業へ流出するのも、現在、抑制されているとの報道がある。このため、専門家は、華為技術は今後新しい製品を開発していくのは困難になるとみている。
(翻訳編集・佐渡道世)
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