​IPAC、中国政府のいじめに対抗 「豪産ワインを購入しよう」と支援呼びかける

2020/12/02
更新: 2020/12/02

対中政策に関する列国議会連盟IPAC)に参加している政治家たちは、中国政府からの強い圧力に耐えているオーストラリアをサポートするために、オーストラリア産ワインを買うよう人々に呼びかける世界的キャンペーンを開始した。​呼びかけはビデオで発表された。

2020年6月4日に結成したIPACには、19カ国200人以上の議員が加わっている。国際法など共通のルールを通じて中国共産党による拡張主義を抑え、世界の普遍的な人権を尊重できるよう政策の提言や声明を発表している。

キャンペーンに参加した議員はそれぞれ異なる政治的思想を持つが、中国共産党の圧力を受けるオーストラリアを支えるため協働している。ビデオには米共和党のテッド・ヨーホ(Ted Yoho)下院議員、ドイツ緑の党のラインハルト・ビュティコファ(Reinhard Bütikofer)議員、日本の国民民主党・山尾志桜里議員、英国保守党の元党首イアン・ダンカン・スミス(Iain Duncan Smith)議員らが出演した。

​このキャンペーンは、中国政府によるオーストラリアに対する最近の制裁措置に対抗するもの。中国がオーストラリアのワイン生産者に最大212%の関税をかけると発表して以降、オーストリアのワイン業界は打撃を受けた。

​ビデオの中で、スロバキアのミリアム・レクスマン(Miriam Lexmann)欧州議会議員は​「今年の12月には独裁的ないじめに対抗して、オーストラリアのワインを1本か2本飲んでほしい」と支援を促した。

11月30日、​中国外交部の趙立堅副報道部長はSNSのツイッターアカウントで、オーストラリア国旗の上に乗る同国兵士が子どもの喉を切ると脅迫しているという、ショッキングな捏造画像を投稿した。

これに対して、オーストラリアのスコット・モリソン首相は「中国政府はこの投稿に関して恥を知るべきだ。国際社会における中国の権威を低めるだろう」「我が国の偉大な兵士に対する中傷だ」と批判し、中国およびツイッターに対して削除を求めた。

中国はオーストラリアへの報復行動として、11月27日、オーストラリア産ワインに対して反ダンピング(不当廉売)関税を課す仮決定をした。5月にはオーストラリア食肉企業4社から牛肉の輸入を停止。IHS Markitは、中国港湾当局は10月1日以降、オーストラリア船の貨物の陸揚げや決済手続きを拒否すると輸出入業者に通知していると報じた。

ほかにも、今年9月、中国駐在のオーストラリアの記者2人が当局からの嫌がらせや恫喝を受け続けたため、急きょ帰国した。

オーストラリアのアフガニスタン駐留軍は以前、民間人を殺害したとの情報がある。中国政府はこれを攻撃材料にして、外交部報道官は何度も皮肉を述べたほか、環球時報や観測者網などの中国官製メディアは、「オーストラリア国内で批判の声が高まる」として、モリソン政権の求心力を低下させようとしている。

オーストラリア労働党のキンバリー・キッチング(Kimberley Kitching)上院議員はIPACのビデオの中で、次のように述べた。​「中国はオーストラリアからの輸入品を全面的にキャンセルし、われわれを脅して価値観を放棄させようとしている」​「これは単にオーストラリアへの攻撃ではなく、自由を支持する多くの国への攻撃だ」

(翻訳編集・佐渡道世)