ポンペオ氏、中国が米大学を買収と批判「北京から痛い目に遭う」

2020/12/11
更新: 2020/12/11

ポンペオ国務長官は12月9日、中国共産党の浸透工作に直面する米教育界に向けて「米国が自ら教育しなければ、北京から痛い教訓を学ぶことになる」と警鐘を鳴らした。また、トランプ政権が示した対中強硬路線は、米政府だけでなく他の民主主義国家の長期的な政策の参照になると述べた。

ポンペオ氏は9日、ジョージア州のジョージア工科大学で「米国のキャンパスにおける中国共産党」と題した特別講演を行った。同氏はこのなかで、中国共産党による米国家安全保障と学術の自由への侵害に焦点を当て、大学は、この問題を直視して取り組むよう呼びかけた。

ポンペオ氏はこの演説の準備段階で起きたエピソードを紹介した。当初、多くの優れた技術者や科学者を輩出する名門校マサチューセッツ工科大学(MIT)での講演を希望していたという。しかし、MIT理事長のラファエル・ライフ(Rafael Reif)氏は、対中強硬路線を示してきたポンペオ氏の主張は中国系の学生や教授を不快にさせるかもしれないとほのめかし、講演を拒んだ。ポンペオ氏は「決してそうではない。私が発言して守ろうとしているのは、まさに彼らの自由である」と強調した。

MITの例をあげて、ポンペオ氏は「中国人民の気持ちを傷つける(Hurt Feelings)」など感情論を利用する中国共産党(以下、中共)の言論封鎖に惑わされないよう呼びかけた。米国や世界各国からの正当な批判を、中共はみせかけの感情論でかわしており、それに屈すれば中共の思うツボだとした。そもそも、中共体制に選挙制度はなく、「中共がどうやって中国人民の感情を知ることができるというのか」と述べた。

中共は自国の目的のために、米国の教育機関を汚染しているとした。「このような行動がわれわれの自由と国家安全保障を低下させていることを知らなければならない」と指摘した 。「もし私たちが自ら教育しなければ、北京から痛い教訓を学ぶことになるだろう」と警告を発した。

ポンペオ氏は、米国は過去数十年の誤りとして、共和党も民主党も関与政策(engagement)を通じて中共が改革を進め、経済と政治が自由になると考えていたと述べた。しかし、中共は得た富を利用して中国人民に対する統制を強化し、また、世界がかつて見たことのない「超ハイテク監視国家」を築いているとした。

「中共の目標は明確だ。習近平総書記が言うように、国内を完全に掌握し、国外で世界一の強国になることだ」と述べ、この目的を達成するために先端技術を持つ米大学はターゲットになっているという。技術盗用や言論の抑圧、政治的な影響の操作、金銭による買収など、ありとあらゆる手段を使っているとした。

ポンペオ氏は、米国が自由主義で先進的な科学技術を創造したのに対し、中共は専制政権と国有企業を核心とするモデルを採用しているため、「永遠にイノベーションの面で米国を追い越すことができない」と指摘した。「中国国内のハイエンド産業基盤の多くは、他国から盗用または購入した技術に基づいている。自国産ではない。年間40万人の中国人が米国に留学しているのは偶然ではない」と述べた。

米国の税金を含む研究資金で技術を学んだ中国人留学生や研究者に対して、中共は「社会主義の祖国に報いる」ために、資金を用意し、帰国を促している。中国研究者は研究成果を中国軍事力の強化に役立てていると指摘した。

さらに、中共は中国人民だけでなく、左傾化した米大学で反米感情を抱く米教授や学生、大学経営陣にも影響を与え、反米的な世論を作っている。特に孔子学院と中国学生学者連合会がこの役割を果たしたと述べた。米トランプ政権は、全米の孔子学院の年内閉鎖と、中共中央統一戦線部とつながりのある中国学友組織を「外国代理人」登録に決めた。

ポンペオ氏は、米国の大学が中国に「忖度」して自主検閲をするのは、リベラル思想の理想からではなく、中共による金銭的な買収もあるとみている。こうすることで、米大学は中国のスパイ行為や知的財産の窃盗を黙認していると述べた。米教育省は2013年以降、米国の大学が中国から受け取った資金は約13億ドルと推計している。

さらに、「この専制政権が私たちの技術を盗み、軍事力を増強し、国民を洗脳したり、これらの活動を隠ぺいするために私たちの教育機関を買収したりすることを許すことはできない」と訴えた。

「私たちは自由の旗を掲げて、学校と安全を守り、この時代の主な脅威である中国共産党から守ろう」と呼びかけた。また、演説の中で述べた「中国」とは「中国共産党」のことだと強調し、心から米国の貢献を願い、米国で幸せを享受する中国市民を大切に想うと述べた。

ポンペオ氏はトランプ政権の4年間の外交により、世界が直面する脅威は中国であるとの認識を高めたと述べた。トランプ政権は中共という課題に対応した初めての米政権だったと語った。また、トランプ政権が2017年に発表した「国家安全保障戦略」は今後、米国や西側の民主主義国家の長い間の政策の参照になると述べた。

(翻訳編集・佐渡道世)