マイク・ポンペオ米国務長官とマーシャル・ビリングスリー軍縮問題担当特使はこのほど、米誌に共同寄稿文を発表し、中国共産党(中共)政権の核兵器開発は危険をはらむ不透明さがあるとした。両氏は、中共政権の嘘が広範囲にわたり甚大な被害をもたらすことは、新型コロナウイルス(中共ウイルス)の例で世界が知っているとし、中国政府に対して「白状」するよう求めている。
両氏の寄稿文「中国核開発の狂気」は、米誌「ニューズウィーク」1月4日号に掲載された。両氏によれば、中国政府は核活動を秘密裏に進めている。米当局は、中国が陸、海、空の軍事核攻撃能力を高めていることを知っている。「20年間にわたる中国の非対称的な軍拡競争は米国本土、インド太平洋地域における米国の戦略的立場、そして同盟国やパートナー国を危険にさらしている」とその危険性を唱えた。
ポンペオ氏らは、米国と旧ソ連は核兵器の枠組みをまとめたが、中国共産党は急成長させる核兵器についてほとんど公にしていないと批判した。「中国は核兵器の保有数や開発計画、使用計画を明らかにしていない。中国は国連安全保障理事会の常任理事国5カ国の中で最も透明性の低い国だ」と両氏は指摘した。
中国の習近平国家主席は核兵器の増強を図っている。習近平氏は、共産党結党100年にあたる2049年までに「世界レベル」の軍事力を構築する計画の一環として、核兵器を担当する第2砲兵部隊を、陸海空と同列する軍種「ロケット軍」に昇格させた。
ポンペオ氏は、米国が数十年にわたる非効果的なロシアとの軍備管理協定を順守するなか、中国政府は不透明な核兵器開発と増強を進めてきたと指摘した。米国とロシアは2010年に締結した「戦略兵器削減条約」に基づき、両国は保有・配備する核弾頭数を1550発までと取り決めている。この条約は、2021年2月初めに終了する。
中国は2019年の軍事パレードで、核対応ミサイルを披露した。また、中国軍は近い将来、米国沿岸部に30分で到達する大陸間弾道ミサイル(ICBM)「東風41(DF-41)」をミサイルサイロや移動式プラットフォームに配備する予定だ。ポンペオ氏らは「現在の傾向が維持されれば、中国は向こう10年間で核兵器の総量を少なくとも2倍に増やすだろう」と予想している。
また、中国軍が同国沿岸部に1000発以上の戦域弾道ミサイルを配備していることに触れ、「これらの兵器の多くは、通常の弾頭と核弾頭の両方を搭載できる。東アジアの米軍を標的とし、同盟国の威嚇・威圧を目的としている」と指摘した。
さらに、中国は2020年、過去2年間の累計を上回る220発以上の弾道ミサイルを発射した。衛星画像によれば、中国の核兵器実験場である新疆ウイグル自治区のロプノールで、核実験の年間活動が行われているという。
両氏は、核兵器の近代化と相まって中国の核体制はより攻撃的になっているとし、非核保有国である近隣諸国を脅かし、「先制不使用(No First Use)」政策への信頼を損なっていると指摘する。国防総省の報告書は、中国軍が「警報即発射(Launch on Warning )」に移行している証拠も示している。
寄稿文は、米国がロシアと、またフランスが英国と核兵器に関するデータの交換や評価を行い公表しているにも関わらず、中国は依然として不透明なままで、データ開示を拒否し秘密主義に固執しているとした。
さらに、米国の核抑止力に依存する多くの国が「中国の軍備増強について公然と沈黙している」と批判した。「すべての国は、中国に対し、核兵器不拡散条約第6条に基づく義務を履行し、誠実に交渉を進めるよう強く求めなければならない」と同盟国に注文をつけた。
(翻訳編集・佐渡道世)
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