ウクライナが中国企業4社などに制裁、航空機エンジン技術をめぐり

2021/02/01
更新: 2021/02/01

ウクライナ大統領府は1月29日、世界航空用エンジン製造大手である同国のモトール・シーチ(Motor Sich)社に投資する企業と個人に対する制裁措置を発表した。中国企業4社と中国人1人が対象となった。

4社は、天驕飛機控股有限公司(以下は天驕飛機)、香港天驕控股有限公司、北京天驕航空産業投資有限公司(スカイリゾン)、北京信威科技集団股份有限公司(以下は北京信威)。制裁対象となった中国人は、1972年生まれの王靖氏。制裁措置は、4社と王氏のウクライナ国内にある資産の凍結などが含まれている。実施期間は3年。

北京信威は、無線通信や航空機動力など、多岐にわたり事業を展開しており、天驕飛機など3社の親会社である。王靖氏は、北京信威の会長兼CEO(最高経営責任者)だ。天驕飛機は、モトール・シーチ社の株式56~76%を保有する主要株主である。

昨年、王靖氏とウクライナ実業家のオレクサンダー・ヤロスァフスキー氏(Oleksandr Yaroslavsky)が同国の証券当局に対して、モトール・シーチの全株式を購入すると申し立てた。しかし、当局がこれを拒否した。

一方、米商務省は先月14日、国家安全保障上の懸念から、スカイリゾンを「軍事エンドユーザー・リスト」に追加し、米企業の製品や技術の購入を禁止した。

当時のロス商務長官は「スカイリゾンは中国国有企業だ」と指摘し、同社が外国から購入した軍事技術を基に、中国軍の軍事力向上を図っていることは米国に大きな脅威をもたらしたと発言した。

モトール・シーチは、旧ソ連の重要な軍需企業で、軍用機や巡航ミサイル、ヘリコプターのエンジンを開発・製造している。米中国語メディア「多維新聞」は、ロシアの専門家の話として、中国当局がモトール・シーチの全株式を取得すれば、中国の航空機エンジン技術の飛躍的な進歩につながるとの見解を示した。

(翻訳編集・張哲)