日英2プラス2で「友情」確認 英国はインド太平洋地域を重視

2021/02/08
更新: 2021/02/08

日本と英国は2月3日、両国の外相・防衛相会合(2+2)を開催し、安全保障における協力と地域情勢について話し合った。英国側は日英関係の親密さをアピールし、インド太平洋地域のプレゼンス強化を表明した。英国はEU離脱に伴い、新たな市場の開拓を図っている。日本は地域へ英国を引き込み、経済と外交の両面で中国に対抗する狙いがある。

「日本は親密で永続の友人」=英外相

茂木敏充外相と岸信夫防衛相は、ドミニク・ラーブ外相とベン・ウォレス国防相と第4回日英外務・防衛閣僚会合を映像形式で行った。英国の声明によれば、ラーブ英外相は日本を「英国の主要な安全保障パートナーにして、親密で永続的な友人」と呼んだ。また、英国は「インド太平洋を重視」し、海上航行の安全と自由貿易は両国の「共通の優先事項と戦略的利益」だと述べた。

日本の声明では、本年中に空母「クイーン・エリザベス」を含む空母打撃群をインド太平洋地域に展開するという英国の発表に歓迎の意を表した。

4大臣は、安全保障環境が大きく変化し基本的価値観が挑戦にさらされている中で、戦略的パートナーである日英両国が「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて協力していくことを確認した。また、中国共産党政権による香港での人権抑圧や、新疆ウイグル自治区の人権状況について「重大な懸念」を表明した。

日本側の声明によれば、双方は東シナ海・南シナ海情勢における懸念を両国間で共有した。また、中国海警法を例に挙げ、「力による一方的な現状変更」「国際法に基づかなければならない海洋権益の主張」について意見交換している。

英国外交に訪れた転機

「英国はヨーロッパばかり注目しすぎた」。ラーブ外相は、昨年12月のニューデリー訪問中にこのように述べた。そして今は、ユーラシア大陸に「成長する機会」を求めていると明かした。ジョンソン首相も今年後半にインドを訪問する予定だ。

英国はブレグジットの成果として、インド太平洋地域で有力なパートナーを探しているとの見方がある。ヨーロッパ外交関係委員会のマニシャ・ロイター氏は、独ドイチェ・ヴェレの取材に対し「英国はEUの多くの国際貿易協定を見直し、安全保障や環境変動そしてデジタル化の方面で協力し合えるパートナーを探している」と述べた。「英国も他のヨーロッパ諸国と同じように、このようなパートナーの多くはインド太平洋地域にいると気づいている」と付け加えた。

昨年11月、ロンドンを拠点とするシンクタンク「ポリシーエクスチェンジ」は、英国が「インド太平洋地域で今まで以上に大きな役割を果たすべきである」と主張するレポートを発表した。

この「非常に英国的な傾向:インド太平洋地域における英国の新戦略」と題されたレポートによると、英国を完全にグローバル化するためには、インド太平洋地域を外交および安全保障政策の最優先的地位に据えなければならないという。同レポートは、インド太平洋地域の安定を維持するため方策として大西洋憲章にならった「インド洋憲章」の調印を挙げるとともに、同地域における英軍のプレゼンスの強化を主張した。

インド太平洋地域の防衛に持続的な関与を

英国はインド太平洋地域における経済的進出と同時に、最新の空母が率いる空母打撃群を配備することで、この地域の軍事的プレゼンスを高めることも計画している。ロイター氏はドイチェ・ヴェレに対し「英軍と英海軍の限られた能力を考えると、インド太平洋に空母打撃群を運用する計画は、この地域に対する英国の安全保障への取り組み強化の兆候だ」と述べた。

空母打撃群が恒久的に配備される可能性は低いが、英軍が当該地域で持続的に展開する方法はほかにもあるという見方が示されている。英国王立防衛安全保障研究所のべルル・ナウエン(Veerle Nouwens)研究員は、ドイチェ・ヴェレの取材に対し、「英国は、この地域の防衛と外交的プレゼンスにより多くの資源を割り当てている」と語った。彼女は、英国がすでにブルネイとシンガポールに軍事施設を建設していることを踏まえ、軍用船や航空機の配備・運行、そして防衛関連の外交を展開させることで「より持続的な関与」ができると話した。

地域安全保障に対する取り組みはこれにとどまらない。英国は拡張政策を掲げる中国共産党に対抗するため、空母打撃群を南シナ海で通過させ、米海軍と自衛隊との合同軍事演習を行う予定だ。さらに日米豪印による安保協力枠組み「クアッド(QUAD)」への参加も検討すると報じられている。

日英「同盟」のゆくえ

近年、日本と英国の関係強化は顕著だ。2021年元旦には日英包括的経済連携協定(EPA)が発足し、英国との経済的つながりが強化された。それ以前から防衛関係でのつながりは年々緊密になっている。2020年12月発表の防衛研究所コメンタリー第146号(以下、コメンタリー)によると、2013年のフィリピン台風救援活動をきっかけとして日英物品役務相互提供協定が締結され、海上自衛隊による英海軍連絡官の受け入れが継続的に行われるようになった。

英海軍の空母と自衛隊の護衛艦はいずれもF-35B戦闘機を搭載するため、運用のノウハウを共有できるとコメンタリーは指摘する。インド太平洋地域でF-35Bの整備能力を有するのは日本とオーストラリアだけなので、日英豪の3国での連携も視野に入る。さらに、米英豪加NZの5カ国からなる情報共有網「ファイブ・アイズ」に日本を加える動きも出てきている。

(翻訳編集・文亮)