カナダのニュースメディア協会は、GoogleやFacebookなどのソーシャルメディアが広告収入の大部分を占めていることに抗議し、複数の国内新聞と連携して「消える見出し」キャンペーンを開始した。参加した4日付、各社の新聞のトップ一面が「空白」になっている。
各紙の空白ページの下に、「ここにニュースがない場合はどうなるか想像してみてください」という一文が書かれていたという。
カナダ最多の発行部数を誇る新聞社トロント・スター紙のジョン・ボイントン(John Boynton)最高経営責任者(CEO)は記事で、このキャンペーンは「カナダのニュースメディア協会(News Media Canada)によって発起された『消える見出し(Disappearing Headlines)』キャンペーンである」と述べている。
また記事には、同キャンペーンは全国の各新聞社のトップ一面を空白にするほかに、議員への公開書簡を添付し、この差し迫った問題の解決のためにできるだけ早く行動するようカナダ当局に呼びかけていると書かれていた。
ボイントン氏はまた「信頼に値し、国民に情報を伝え、政府の責任を追及する信頼できるジャーナリズムがなければ、私たちの民主主義と子どもたちの未来は損なわれるだろう」
「しかし、信頼できる事実に基づいたニュースを報道するには、非常に費用がかかる。そして残念なことに、GoogleやFacebookのようなグローバル巨大テック企業は、カナダのニュースメディアが制作した報道に対して、妥当な料金の支払いを拒否している。これらの巨大テック企業は、カナダで80%以上のデジタル広告収入を占めている」
「その結果、カナダ全土の地方紙は近年相次ぎ倒産し、無数の記者たちが職を失った」と指摘した。
同氏はさらに「最善の解決策」として、オーストラリア政府のように、GoogleとFacebookなどIT企業にニュース使用料の支払いを義務付け、従わない場合、巨額の罰金を科す法案を作ることだと指摘した。
「重要なことは、この解決策は政府にとって新たな資金や税金などの費用がかからないことである」とも強調した。
カナダのスティーブン・ギルボー(Steven Guilbeault)文化遺産大臣は4日、同国メディア「グローバルニュース(Global News)」宛ての電子メールで、「ニュースは無料ではない。今までもそうだった」との声明を発表した。
ギルボー氏は、「私たちの立場は明確だ。出版業者の仕事には適切に報酬が支払われる必要がある。彼らは私たちの民主主義と地域社会の健康と福祉に利益をもたらすために必要な情報を提供している。したがって、私たちは彼らをサポートする」と表明した。
同氏はさらに、「カナダ政府は立法を通じて『カナダ製造モデル』を構築し、カナダのジャーナリストとデジタルプラットフォームのために、包括的で一貫性のある公正なデジタル仕組みを作る意向がある」ことを改めて表明し、今年中に新法制定に向けて動き出すことを目標とした。
オーストラリア政府はGoogleやFacebookなどの主要デジタルプラットフォームに対し、記事使用料を報道機関に支払うよう義務付ける法案の導入を近々予定している。
長年にわたり、これらの巨大テック企業は、ニュースコンテンツを無料で表示することで膨大な量のネットワークトラフィックとユーザーを獲得した。またそれと同時に、広告を販売することで収益を得てきた。
この問題を解決すべく同法案は、広告収入の減少で経営不振に陥ったメディアを支援し、巨大テック企業と地元の新聞社との間に「公平な競争の場を作る」こと目指している。
オーストラリアのジョシュ・フライデンバーグ(Josh Frydenberg)財務相は以前、「オーストラリアでは、オンライン広告費100ドルごとに、47ドルがGoogleに、24ドルがFacebookに、残りの29ドルが他のメディア企業に流れている」と述べている。
現在同法案は、議会で審査しており、同国2大主要政党から一致の支持を得ている。
(大紀元日本ウェブ編集部)
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