日本の「対中政策に関する国会議員連盟(JPAC)」共同代表を務める中谷元議員、山尾志桜里議員は15日、阿達雅志内閣総理大臣補佐官(経済外交担当)を訪ね、「新彊ウイグルの強制収容所における拷問やレイプの報道等に関する声明」の申し入れを行った。
申し入れにあたり、山尾議員は人権外交の重要性を強調し、国益と普遍的価値のためには国会と政府の協力が必要であるとSNSに書いた。議員は政府に対して「ウイグル問題について、『ジェノサイド』認定に向けた調査を開始してもらいたい。また『対話と協力』だけではなく行動を追加し、人権外交に向け人権侵害制裁法の制定に尽力していただきたい」と述べた。
JPACの声明は、英BBCが最近報道した中国新疆ウイグル自治区における収容施設の元入居者らの証言に基づく。報道は「邪悪で非人道的な扱いを暴露した」とある。同様の声明は4日、JPACの国際版である「対中政策に関する列国議会連盟(IPAC)」が発表している。IPACは国連と各国政府にジェノサイドと人道に対する調査を求めている。
声明は、9日に開かれたJPAC第5回総会で決議された。日本ウイグル協会からの公聴も行われた。JPAC事務局長を務める長島昭久議員によれば、国会会期中にかかわらず40人以上が出席した。声明は全会一致で採択され、直ちに発出された。
総会に参加した桜田義孝議員は、「私たちは自由と民主主義、そして人権を何よりも尊重する。国会でも早急に人権侵害政策法(日本版マグニツキー法)、ジェノサイド条約締結に向けて、与党も野党もなしに国会議員が一丸になって取り組んでいかねばならない」と議員に呼びかけた。
同じく総会に出席した三谷英弘議員も問題の周知を図るためにSNSに投稿。「国内外を問わず、人権が蹂躙されているとすれば到底容認できない話。実態解明を訴えていく」と主張した。
ジェノサイド条約は、国際連合で1948年に採択され、中国や北朝鮮を含む142カ国が批准している。条約によれば、ジェノサイドは「国民的、民族的、人種的または宗教的な集団の全部または一部を破壊する意図を持って行われる行為」と定義されている。しかし、日本は国内法の未整備を理由に締結していない。
中国共産党政権は政治的に過敏な問題を外国から追及された場合、報復行為に出る。例えば、米国に協力しイラン制裁違反の疑いで中国・華為技術(ファーウェイ)の財務最高責任者を逮捕したカナダに対する報復として、中国国内のカナダ人ジャーナリストと元外交官の2人を恣意的に拘束した。また、新型コロナウイルス(中共ウイルス、COVID-19)の出所について独立調査の必要性を訴えたオーストリアに対しては、ワインや牛肉を輸入規制し、大麦には反不当廉売(アンチダンピング)税を課した。
中谷元議員は近日、こうした中国共産党の報復の可能性を見越した上で、日本は人権問題における対中国態度を緩めず、国際秩序の維持を呼びかけ続けることを、オンラインメディアのインタビューで語った。さらに、「(国際的に)連携して対処すれば、制裁を恐れることはないだろう」と付け加えた。
(佐渡道世)
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