米国務長官と国防長官が初外遊で来日 「アンブレイカブルな日米同盟」を対外的に示す

2021/03/15
更新: 2021/03/15

茂木敏充外務大臣と岸信夫防衛大臣は、15~17日にかけて訪日するアントニー・ブリンケン国務長官およびロイド・オースティン国防長官と日米安全保障協議委員会(2プラス2)を開催する。米国務省が直前に公表した資料によると、両長官の初の外遊先となる日本では、日米同盟を強化するとのコミットメントを再確認し、インド太平洋および世界の平和、安全、繁栄を促進する協力を固める。

日米2プラス2を前に国務省が公開した日米関係ファクトシート「揺るぎない日米同盟の再確認」は、両国の関係性の強固さについて説明している。「60年以上にわたる日米関係は、民主主義や人権の強化、自由で公正な貿易の促進に取り組んでいる」とし、さらには、「アジアおよび世界中での悪意のある影響と中国の挑発への対抗など、共通の課題に協力して取り組んでいる」とした。

双方は毎年3000億ドル以上の商品やサービスが取引される随一の貿易相手国であり、二国間経済関係は世界で最も強力だとした。訪日中はほかにも人権擁護、気候変動、女性のエンパワーメント、先端技術の推進についても協議するという。

このファクトシートでは、米側は「日本の防衛に対する米国のコミットメントは絶対的」であるとし、「米国は、尖閣諸島が日米相互協力安全保障条約第5条の範囲内にあることを確認し、東シナ海の現状を変えたり、日本の自治を弱体化させようとする一方的な試みには引き続き反対する」と説明した。

また、横須賀を拠点とする米海軍第7艦隊の原子力空母「ロナルド・レーガン」や、F-35ステルス戦闘機など、「米国で最も有能で先進的な軍事資産の多くは日本にある」ことにも言及。この事実は、日米同盟の重要性や効果的な抑止力、そしてインド太平洋地域の同盟国との協力を通じて、地域の平和と安全を維持するという目標を表していると強調した。

12日のホワイトハウス記者会見で、ソン・キム東アジア太平洋局次官補代理は、ブリンケン長官は今回の日韓訪問で、地域の人権と基本的自由の高い基準を促進し、効果的な国際ルールを確立するとともに、中国のような国家が国際的な約束と義務を遵守しない場合に説明責任を果たすことを促進するといった米国の対応について伝達するという。

日米外相会談、中国に関する議論に時間を割く=茂木外相

茂木外相は15日の参院予算委員会で、ブリンケン米国務長官との会談では、中国に関する議論にもっとも時間を割くとの見通しを示した。「日米同盟の抑止力、今後の協力について、対面でじっくり意見交換したい」と強調し、「中国に対して、主張すべきは主張する。一方的な現状変更の試みは日米一致して毅然と臨みたい」と述べた。

岸防衛相は、13日に出席した「防衛と安全保障のオタワ会議」のスピーチのなかで、中国について15回言及し、力を背景にした現状変更を試みる行動に批判的な姿勢を明確にした。中国が国家安全維持法を施行したことで香港の高度な自治が大幅に後退したことや、台湾への軍事侵攻の可能性の示唆に懸念を示した。また、中国が南シナ海で頻繁な軍事訓練を行い、東南アジア諸国に圧力を与えていることにも触れた。

岸防衛相は、法の支配や人権など地域の普遍的価値を保護する「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」のもと、同盟国である米国をはじめ豪州、英国や欧州諸国、ニュージーランド、東南アジア諸国らと戦略的に協力を推進したいと語った。

菅義偉首相は12日、政府与党連絡会議で、4月中旬に訪米し、バイデン大統領との初の対面式首脳会談を行うと発表した。同政権後で訪米する初の外国首脳となる。

(佐渡道世)