英インターナショナルスクールに中国撤退の動き、習近平思想教育の強化を受け

2021/04/21
更新: 2021/04/21

英紙タイムズ17日付によると、英国教育機関が運営する50のインターナショナルスクール中国での国際教育に限界を感じ、他国への進出を検討している。近年、中国当局が、学校教育の現場で共産主義イデオロギー習近平思想の浸透を強化していることが影響しているという。

これらのインターナショナルスクールは中国にいる外国籍の生徒を主な対象にしていたが、市場競争を受けて、中国籍の生徒も受け入れた。このため、インターナショナルスクールは、中国当局のカリキュラム規定を守る必要があり、中国当局にタブー視されている1989年天安門事件などの重要な出来事を教えることができない。また、15歳以下の中国人学生は外国で作られた教材を使ってはいけないという規定もある。

中国教育部(文部科学省に相当)は3月4日、新たな教育ガイドラインを発布した。対象者には、中国籍の生徒を受け入れているすべてのバイリンガル私立学校も含まれる。

同ガイドラインは、「習近平新時代における中国の特色ある社会主義思想を堅持し、党の教育方針を全面的に実行し、社会主義に基づく学校運営を堅持する」と強調した。

また、教育部は3月31日、小中学校(保育園を含む)に対して、「党の路線・方針政策に違反する」などの書籍や読み物を学校内から排除するよう各地方政府に指示した。

当局は教材以外の児童・生徒用図書の購入条件として、「習近平新時代における中国の特色ある社会主義思想を宣伝し、共産主義革命という赤い遺伝子を受け継ぎ、民族精神を広める」などを挙げた。

当局は昨年10月、すでに各地で同様な指示を行ったとみられる。ロイター通信の報道では、当局は「違法」あるいは「不適切」な作品を載せた本を各地の小中学校や図書館から排除した。全部で数十万冊にのぼる。

英誌グッド・スクール・ガイド(Good Schools Guide)の編集者であるジュリエット・フェアクロウ(Juliet Fairclough)氏は、中国にある英国の私立学校は「中国の学校と同じカリキュラムしか組めないので、名ばかりのイギリス学校となった」と指摘した。

同氏によれば、学校のイメージを損なうことを心配して、一部のイギリス学校は中国にキャンパスがあることを伏せているという。また、一部の学校は今後、ベトナムやエジプトなどで分校の開設を考えている。

(翻訳編集・張哲)