中国のロケット、制御不能状態で8日か9日に地表落下か

2021/05/07
更新: 2021/05/07

米国防総省は5月5日、中国が先週打ち上げた「長征5号B(Long March 5B)」ロケットは制御不能な状態になっており、5月8日から9日にかけて地球の地表に落下することが懸念されると発表した。現在、米宇宙統合軍はロケットの残骸を追跡しているという。

米宇宙統合軍は声明で、地球の大気圏への正確な進入点は、8日頃に予想される再突入から数時間以内まで特定できないとした。米宇宙軍は4日から、ウェブサイトSpace-track.orgでロケット本体の位置を毎日更新し、情報を公開している。

この事態を受けて、米ジェン・サキ(Jen Psaki)ホワイトハウス報道官は「責任ある宇宙開発国としての行為ではない」と中国を非難した。米オースティン国防相は「落下していくロケットを撃ち落とす予定がないが、海に落下することを願っている」と述べた。

米国側の発表に対し、中国共産党系メディア・環球時報は5日、「西側メディアが最近ロケット残骸が制御できないと煽っている。専門家によるとロケット残骸は大気圏で容易に燃え尽きるもので、パニックになる必要はない」と報じた。

しかし、複数の英語圏のメディアは、全長約30メートル、重さが約21トンに及ぶロケットの残骸は完全に燃え尽きることなく、一部は地表のどこかに落下する可能性があると報じている。

中国は独自の宇宙ステーションの建設に着手している。中国は4月29日、大型ロケット長征5号Bを使い、中国の宇宙ステーション「天宮」の中核となる「天和」を打ち上げた。今後2年間で10回に分けて実験施設などをロケットで打ち上げて、天宮を組み立てる予定だ。

2020年5月、中国は同じ「長征5号B」ロケットで宇宙船の試験機を打ち上げ、制御不能となってコートジボワールに落下させている。米航空宇宙局(NASA)のブライデンスタイン長官(当時)は「本当に危険だ」と中国を批判した。これについて、CNNは中国外交部を通じて当局に事実関係などの説明を求めたところ、外交部副報道局長趙立堅氏は「言っていることがわからない。関係部署に聞いてほしい」と回答を拒んだ。

(蘇文悦)