海外で中国当局を批判した中国人男性、王靖渝さん(19)が、中東のドバイで拘束されたことがわかった。地元警察は王さんの身柄を中国当局に引き渡そうとしているという。
王さんは留置所から大紀元の電話取材を受けた。
2月、中国当局は昨年の中印国境衝突で中国軍の兵士ら4人が死傷したと発表した。これに対して、王さんは中国版ツイッター、微博(ウェイボー)に投稿し、死傷者は4人以上だと当局の発表を疑問視した。
王さんによると、当時自身はトルコのイスタンブールに滞在していた。滞在中、現地のSIMカードを購入し、携帯電話からウェイボーに投稿していたという。しかし、その後、携帯電話に脅迫のメッセージが引きも切らず届くようになった。さらに、ホテルの客室にまで脅迫電話がかかってきた。
「当初は、なぜ彼らは私がトルコにいるのを知っているのかと不思議に思った。だから、早くアメリカに行こうと思った」
米永住権を持つ王さんは4月5日、イスタンブールから米ニューヨーク行きの航空券を購入した。その後、王さんはドバイで飛行機を乗り継ぐ時、地元当局に拘束された。
「空港でアラブ首長国連邦の警官だと自称する2人の男性によって、移民管理局に連れていかれ、パスポートも没収された」
警官らは、身柄拘束について、王さんに対して「国家安全のため」「現地の宗教・文化を侮辱した」などと説明し、今後王さんを中国に移送すると話した。
4月11日、王さんは別の拘置施設に送られた。ここで、王さんは弁護士に連絡することができた。
「弁護士によれば、ドバイの検察当局は5月初めに、私のケースについて証拠が不十分だとして起訴しないと決めた。私の弁護士は警察当局に釈放するよう求めた。地元の裁判所もすでに4月19日に、私に対して保釈を許可した。それでも、警察側が拘束を続けている」
王さんによると、4月に駐ドバイ中国領事館の担当者が拘置施設で王さんと面会した。
中国領事館の担当者は王さんに、5月1日にドバイから中国・広州市に向かう航空券を購入するよう求めた。「担当者は私が中国に戻れば、今までの問題は全部解決できると話した」という。また、担当者は王さんに、アラビア語で書かれた書類を出しサインするよう要求した。
「書類にどんな内容が書かれているかは全くわからないため、サインを拒んだ」
王さんは今、大変厳しい環境にある。地元警察は、王さんに毎日食事を与えておらず、水だけを提供している。大型の拘置施設に移送されてから、一日の食事は1回のみ。1つの牢屋の中には7〜8人がいる。
王さんは、同施設では、新型コロナウイルスの感染対策が施されていないと話した。「マスクの着用は許されていない」という。
王さんの2月の投稿で、中国当局は、国内にいる王さんの両親を拘束した。「両親とは長らく連絡していない。親の今の状況はわかっていない」
「私自身の安否は重要ではない。中国に移送されても、私は怖くない。この邪悪な党は必ず滅びるからだ。しかし、私のこの遭遇を通して、私たちは力を合わせて中国共産党を倒さなければならないと全世界(の人々に伝えたい)…」
その後、王さんの音声が途切れた。電話は拘置施設側に切られたとみられる。
大紀元は3月、王さんにインタビューした際、王さんは、中国当局が人質として両親を逮捕し、自身に帰国するよう脅迫したことで、「中国共産党はならず者だと言うしかない」と非難した。
(記者・顧暁華、翻訳編集・張哲)
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