中国「海警法」を受け、協力体制を強化する日本とインドネシア

2021/05/31
更新: 2021/05/31

日本とインドネシアは、中国が新法「海警法」を制定したことを受け、防衛協力の強化に取り組んでいる。

両国は日本からインドネシアへの護衛艦などの防衛装備品移転、継続的な両国間の寄港、防衛当局間(MM)協議の実施などにより協力を図ることで合意した。2021年3月下旬に東京で開催された日インドネシア防衛相会談の後、両国の防衛相・国防相が記者会見に応じた。

米海軍大学校ストックトン国際法センターで教授を務めるラウル・ペドロゾ(Raul Pedrozo)法務博士の説明によると、中国の海警法は国際法違反となる。2021年2月にペドロゾ博士が同大学の学術雑誌「国際法研究(International Law Studies」に発表した論考には、海警法は中国海警局を含む中国の海上警察機関の任務を規定し、中国の「主権、安保、権利、利益」を保護することを目的として2021年1月に制定されたと記されている。

同博士は、海事法は「紛争地域や公海に所在する外国籍船に対する管轄権」も主張するという点で、国際法に違反するとも付け加えている。

今回の会談で、岸信夫防衛相はインドネシアのプラボウォ・スビアント(Prabowo Subianto)国防相に対して、海事法により「関係国の正当な権益が損なわれることがあってはならない」と述べている。

2021年3月28日に行われた記者会見における岸防衛相の発表では、同防衛相とスビアント国防相は「問題を提起するいかなる行為にも強く反対するというメッセージを共に国際社会に向けて発信していく」ことで合意した。

日本防衛省によると両閣僚は3月30日に「防衛装備品・技術移転協定」に署名した。 4月2日に岸防衛相は記者会見で、「同協定により、移転する防衛装備や技術の適切な管理が確保され、両国間における防衛装備・技術協力体制が強化される。これが安保強化に繋がることを期待している」と語っている。

オンライン雑誌のザ・ディプロマットが報じたところでは、日本はもがみ型護衛艦8隻をインドネシアに移転する予定である。2023年後半から2024年初頭にかけて4隻の護衛艦が移送される計画で、インドネシア側は日本との協力の下、スラバヤに拠点を置く造船所が4隻の艦船を建造する計画を策定している。

ジャカルタ・ポスト(The Jakarta Post)紙の報道では、中国漁船は南シナ海のインドネシア排他的経済水域(EEZ)への侵入を繰り返しており、多くの場合、中国海警局の艦船が漁船に同行している。インドネシア側は同海域における違法漁業対策に多大な努力を払ってきた。

会談において、東シナ海と南シナ海の地域的な緊張に関してもスビアント国防相と詳細に協議したと述べた岸防衛相は、「インドネシアは自由、民主主義、法治などの基本的価値観を共有する戦略的提携国である。日本の防衛省と自衛隊はさらに同国との防衛協力と交流を推進していく構えである」と発表している。