米バイデン政権、曖昧な対中政策を大転換か 専門家「国際社会全体が中国との関係を見直している」

2021/06/02
更新: 2021/06/02

米ホワイトハウスのカート・キャンベル国家安全保障会議(NSC)インド太平洋調整官は5月26日、米国の対中関与政策(Engagement Policy)は終わったと発言した。米国の中国語雑誌「北京之春」の陳維健・編集長は、キャンベル氏の発言は国際社会全体が今、対中姿勢を見つめ直していることを反映したとの見解を示した。

キャンベル氏は米スタンフォード大学のイベントに出席した際、米中両国の「関与と呼ばれていた時代は終わった」と述べ、米政府の現在の対中政策の核心は「競争」とした。

中国外務省の趙立堅報道官は27日、キャンベル氏の発言について「『競争』を使って、米中関係を定義し、または主導するのは完全に間違っている」と反発した。趙氏は「協力し合う関係は米中にとって国益になるが、争い合うことで双方とも損失を被るだろう」と強調した。

陳維健氏は、趙立堅氏の発言は中国当局が国内で行っているプロパガンダと矛盾すると批判した。米中関係が悪化してから、中国当局は国内で「米国は中国にとって最大の敵」と宣伝している。

キャンベル氏はオバマ政権で国務次官補(東アジア・太平洋担当)を務め、米国は中国当局と「競争しながら協力する」との主張を貫いてきた。今年1月に発足したバイデン政権は、この方針を続けてきた。2月4日、バイデン大統領は国務省で外交政策について演説を行い、中国を「重大な競争相手」と位置付けた一方で、米国の国益になる場合は中国当局と協力する用意があるとした。

陳維健氏は「この3カ月で、バイデン政権の対中姿勢が大きく変わったと見られる」と大紀元に語った。

陳氏は、現行の米政策はすべて中国当局を封じ込めるためにあると指摘した。また、この背景には国際社会の対中姿勢が変化したほか、中共ウイルス新型コロナウイルス)の実験室漏えい説をめぐって、米政府が何らかの情報を掴んだ可能性があると同氏は推測した。

バイデン大統領は26日、情報機関に対して中共ウイルスの起源に関する追加調査を行い、90日内に報告するよう指示した。

「ウイルスが武漢研究所から漏えいしたと検証されれば、バイデン政権は『競争しながら協力する』という曖昧な態度を取れなくなるだろう。中共ウイルスで大勢の米国人が死亡し、莫大な経済損失を被ったからだ」

いっぽう、キャンベル氏は26日の発言で、対中戦略におけるアジアの同盟国の重要性に言及し、「一段と挑発的になった中国に対抗する最も良い方法は、同盟国やパートナーなどと協力することだ」「最良の対中政策は、実に良いアジア政策でもある」と話した。

同氏は、米政府は今秋、米国、日本、インド、オーストラリア4カ国の枠組みであるクアッドの対面会議を予定していると明かした。同会議では、中国当局の巨大経済圏構想「一帯一路」を念頭に、4カ国の首脳はインフラ分野を中心に話し合いが行われるという。

(翻訳編集・張哲)