日本は台湾を守るために行動する 中共が武力統一を試みるなら=米トランプ前政権高官

2021/06/05
更新: 2021/06/05

米トランプ前政権で国家安全保障副補佐官を務めたマシュー・ポッティンジャー(Matt Pottinger)氏は、中国が武力で台湾を統一しようとした場合、日本が台湾を守るために軍事行動を取るだろうと自らの推論を述べた。

ポッテンジャー氏は6月1日(現地時間)、マイク・ポンペオ(Michael Pompeo)前国務長官やロバート・オブライエン(Robert O’Brien)前国家安全保障担当らと、カリフォルニアのリチャード・ニクソン財団(Richard Nixon Foundation)が主催した討論会「日米関係における保守的リアリズムと国家安全保障に関するセミナー(The Nixon Seminar on Conservative Realism and National Security on U.S.-Japan Relations)」に参加した。

ポッテンジャー氏は歴史的に、日本軍には「台湾の防衛は日本の防衛」と同列視する考えがあるとして、現在の日本もこれに従って台湾のために行動を取ると考える、と述べた。

実際、日本の防衛相も同様な姿勢を示す発言を行っている。岸信夫防衛相は5月4日、テレビ朝日の番組に出演した際、台湾海峡の緊張の高まりは「(日本にとって)人ごとではなくなる」と述べ、台湾周辺の情勢の安定に日本が関与していく考えを明らかにしている。

トランプ前政権で、米と世界に距離が生まれたとの指摘は「ナンセンス」

そこには「中国が台湾を統一することで、日本は戦争ができなくなる。自国を守ることもできなくなり、自国に物資を供給することもできなくなる。台湾が中国に占領されたら、実質的にこの地域(台湾)を支配し、日本を無用の長物にさせることになる」と書かれているという。

ポッテンジャー氏は、ロイター通信や米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙の中国特派員や海兵隊員の経験を経て、米国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長、そして国家安全保障担当副補佐官を務めた。

ポッテンジャー氏はトランプ政権下で米国のインド太平洋地域における外交的地位が弱まったという批判に対して、「ナンセンスだ」と反論した。同氏は、米国と日本、インド、ベトナム、台湾との関係は過去最高水準にあるとした。しかし、韓国関係については言及しなかった。文在寅(ムン・ジェイン)大統領政権は、これまでよりも中国共産党との外交的距離を縮めたと認識されている。

さらに、トランプ政権下では、「インド太平洋地域における戦略の重要な柱のいくつかは、日本との間で共有し、協力した構想である」と述べた。日米豪印による4カ国戦略対話(クアッド)は、日本の安倍晋三前首相の提案だと明らかにした。

「日本が最初に、中国に対する防衛戦略として4カ国戦略対話を提案した」と述べ、安倍首相が「2006年と2007年の最初の首相就任時に考えついたものだ」と話した。「自由で開かれたインド太平洋という考え方は、我々の最も近い同盟国である日本の考え方を意識して採用し、承認したキャッチフレーズだ」とも説明した。

オブライエン氏は、バイデン政権が前政権からクアッドを継続させ、さらに強化させていることを好意的に評価した。「彼らがそれを実行し続け、その努力に神のご加護があることを祈る」と述べた。

このセミナーは、台湾および日本の南西部に対する中国共産党の圧力がますます高まる中、開催された。台湾の防空識別圏(ADIZ)に飛来する中国軍機が増え続け、2月には11機が同時に台湾の防空識別圏(ADIZ)に侵入した。さらに、台湾から150キロほどしか離れていない沖縄県の尖閣諸島における、中国海警局船の領海接近も常態化している。

(佐渡道世)