韓国最大野党代表に36歳の李俊錫氏 対中国で強硬 香港デモにも参加

2021/06/13
更新: 2021/06/13

韓国の保守系最大野党「国民の力」は11日、ソウルで開かれた党代表選で李俊錫氏(36)を選出した。李氏は近代の韓国政治史で最年少の第一野党代表となる。韓国の専門家は、若年層の保守系に対する期待の高まり、政治界における世代交代の熱望のあらわれとみている。文在寅政権が融和政策を取るのに対して、李氏は中国、北朝鮮には強硬な立場を示している。

韓国政治の世代交代 現政権に対する不満表出がきっかけ

李氏はソウル出身で、米ハーバード大を卒業後、起業した。20代半ばで保守系与党に入党し、2011年、朴槿恵氏に党委員のひとりとして外部から抜てきされた。16年から3度、国政選挙に挑戦したが、いずれも落選。今回の党代表選出戦ではトップの得票率を得て、他のベテラン候補を抑えて代表に選ばれた。

「30代、政治家未経験」である李氏の当選は、いま韓国政治を率いる主な勢力の世代交代をうかがわせるとして、高く注目されている。従来の主流は、「586世代(50代、80年代の学籍番号、60年代生まれ)による連続当選議員」だった。

世代交代への期待は、文在寅政権への失望が浮き彫りになったとの見方もある。「ろうそく革命」に支えられ圧倒的な支持を得た与党は、人事、対中国、北朝鮮政策、不動産問題など、国内外の課題解決は思うように進まなかった。韓国の政治専門家は、現政権に対する不満が第一野党の世代交代のきっかけを作ったと分析する。

韓国長安大教授のパク・チャンファン氏は11日、KBSニュースのインタビューに対して「李氏の登場で2030世代(20代と30代)が今後、主要政治勢力に浮上する可能性は十分ある」と述べ、今回の李氏の当選について「既成政治に対する失望と幻滅が、新しく変わらなければならないという時代の要求を呼んだのだろう」と分析した。

李氏「民主主義と人権は絶対的な価値」韓国の対中国・北朝鮮問題が変わるか

李氏は公に、香港民主化運動の支持を表明している。2018年8月には香港を訪れ、デモ隊に加わり行進したこともある。李氏は昨年6月にも、国会で開かれた旧「正しい未来党」(現・国民の力)最高委員会議で、「香港市民が感じる民主主義への脅威は、私たちが1980年、1987年に感じた民主主義の危機と相通じる」と述べ、野党を中心とした韓国政界における香港民主化運動支持への流れを作った。

いっぽう、香港問題に沈黙した文在寅政権に対しては「中国の夢を見るだけで、韓国はまるで馬に付いたハエのようにぴったり中国に張り付いて行かなければいけないと主張する与党は、絶対(香港民主化運動に対する支持宣言を)できないだろう」と強く批判した。

李氏は候補の時から民主主義と人権を力説してきた。先月30日の候補演説で李氏は「国内、香港、北朝鮮、ミャンマーを問わず、民主主義の破壊する者に対抗する、守護者にならなければならない」、「私たちは常に民主主義と人権を絶対的な価値に置かなければならない」と強調した。

李氏は北朝鮮の体制に対して「38度線の北側にある『人民民主主義』のような疑似民主主義は排斥の対象」と強く否定した。また、朝鮮半島の統一については、体制優位による「吸収統一」を主張し、「吸収統一とは、北朝鮮の体制を消すことで、北朝鮮に妥協することはない」と述べ、従来の政権より強硬な対北朝鮮観を示している。

こうした発言から、今後李氏の率いる第一野党は、対中国および対北朝鮮政策で現政権との差が鮮明になる見通しだ。

(編集・潤水)