チベット人、嘘で固めた中共白書を拒絶「資源を搾取し歴史抹殺を図っている」

2021/06/21
更新: 2021/06/21

チベット難民組織や人権団体は、中国共産党のチベット侵略とその後70年にわたる占領の歴史をあからさまに捏造した中国政府の行為を愚行として非難した。

中国共産党によるチベット侵略の足掛かりとして1951年5月23日に締結された「十七か条協定(中央人民政府と西藏地方政府のチベット平和解放に関する協議)」の調印から70周年が経つ。専門家等の主張によると、十七か条協定はチベット側が強制的に署名させられた取り決めである。

この条約調印70年に合わせて、中国政府はチベット併合を「平和的な解放」として描写する「チベットの平和解放と繁栄発展」白書を発表した。

中国国営放送局「中国中央電視台(CCTV)」が所有・運営するCGTN(中国グローバルテレビジョンネットワーク)が報じたところでは、チベットは「著しい改善」を果たしており、チベットの不安を煽るために「西側の反中勢力」が継続的に介入していると、同白書には記されている。

しかし、「チベットのための国際キャンペーン(ICT)」は5月21日に発表した声明で、「今日のチベットの状況から明らかなように、中国は自国が強制して締結した協定にも準拠せず、違反している」と述べている。

ワシントンDCに拠点を置く同非営利団体や他の活動家団体は、同白書を強く批判している。これは、天然資源や戦略的立地条件を搾取しながらチベットの豊かな歴史の抹殺を図る中国共産党の長年の政策に基づく単なる政治的宣伝であるという。

山岳地帯でブータン、ビルマ、インド、ネパールと国境を接するチベット自治区には、インド太平洋の主要河川の多くの源流が存在している。

「チベットのための国際キャンペーン」は、「協定締結から70年の間に、中国政府が一方的に打ち出す政策はますます強硬なものとなった。これによりチベットの文化や宗教が弱体化しチベット人の表現の自由が奪われてきた」と説明している。

インドに本拠を置くチベット亡命政府「ガンデンポタン(中央チベット政権/CTA)」は2021年5月23日に発表した声明で、中国人民解放軍(PLA)がチベットに侵攻した後、暴力の脅威に曝されたチベット当局代表は「チベットの悲惨な歴史の幕開け」を示す十七か条協定に署名することを余儀なくされたと説明している。 同協定には、ガンデンポタンによる「民族自治」を保証し、チベットの精神的指導者と位置付けられるダライ・ラマの「確立された地位と職権」を含め、既存の政治制度の改革を中国が強要しないこと、並びにチベット人の宗教的信条や習慣を尊重することを誓約する内容が含まれている。

2021年5月、カルカッタ大学(コルカタ大学)政治学部のジグメ・イェシェ(Jigme Yeshe)助教授はラジオ・フリー・アジア(RFA)に対して「中国は締結した協定に準拠する姿勢など微塵も見せなかった」とし、「チベット併合後まもなく、中国はチベット弾圧を強化してチベット独自の民族性を破壊するためにチベット族に信じられないほどの残虐行為を加えた」と述べている。

チベットに駐留する中国人民解放軍とチベット人との軋轢により勃発した蜂起を起因とするチベット動乱が頂点に達した1959年、ダライ・ラマを含む数千人のチベット人が安全な場所を求めてチベットを脱出した。

複数の人権団体によると、チベット自治区の推定人口320万人の90%以上を占めるチベット族の強制同化を目的として、中国共産党は恣意的な拘束、監視、拷問などの手段を用いている。中国共産党当局は僧院を閉鎖して反対派に懲罰を科し、そしてチベット語の教育を抑圧した。

中国共産党は新疆ウイグル自治区や内モンゴル自治区といった他の少数民族にも同様の弾圧を展開していることで、国際社会から非難の声が上がっている。ロイター通信が報じたところでは、2021年2月、欧州連合(EU)のジョセップ・ボレル(Josep Borrell)外務・安全保障政策上級代表(外相に相当)は中国に対して、国連人権高等弁務官によるチベットの視察を許可するよう呼び掛けた。

最近当選したガンデンポタンのペンパ・ツェリン(Penpa Tsering)政治最高指導者(シキョン)は、チベットの自治に関する中国との協議を復活させることを政策の優先事項の1つとして挙げている。

ニュースウェブサイト「チベットサン(Tibet Sun)」が伝えたところでは、ツェリン政治最高指導者は2021年6月上旬、「チベット問題の永続的な解決策を見つけるためにあらゆる手段を模索する」とし、「しかし、それまでの間、当政権はチベット族とその環境に不幸をもたらす間違った政策をすべて暴露する構えだ」と述べている。

(Indo-Pacific Defence Forum)