中国系企業の劣悪環境にジンバブエ高官が「ショック」 大使館「誹謗中傷」と逆ギレ

2021/07/22
更新: 2021/07/22

ジンバブエの中国企業で働く現地労働者が、奴隷のように扱われていると訴える問題は、両国の外交問題に発展した。ジンバブエの労働福祉副大臣が問題の工場を視察し、劣悪な就労環境の改善を求めた。一方、中国大使館は虐待が「誹謗中傷」だと批判を交わしている。米ボイス・オブ・アメリカ(VOA)が報じた。

同国の首都ハラレで事業を展開するセラミック製品の製造メーカー、中国サニーイーファン社で働く労働者は、低賃金、定員オーバーの宿舎、危険な化学物質の取り扱いに必要な防護措置がない、などの問題に不満を訴えている。

また、ハラレにある別の中国企業ギャラクシ・プラスチック社の元従業員は作業中の事故で、指3本損傷したにも関わらず、同社は賠償金や治療費を払おうとしない。

事故後、この元従業員はジンバブエ組合会議に助けを求めた。交渉の末、同社は1176ドルの退職金の支払いに応じた。しかし、いつの間にか、金額は400ドルまで下がり、最終的に受け取ったのは166ドルだったという。

一方、同組合のJapahet Moyo事務局長はVOAに、中国企業の劣悪な労働条件に対する苦情が多く寄せられていることを認め、「政府には問題を解決しようとする動きがまだない」と政府の対応を批判した。

同国のポール・マヴィマ労働・社会福祉大臣は組合の批判を否定し、内閣でこの問題について議論していると述べた。

ラブモア・マツケ副大臣は13日、サニーイーファン社を視察し、1500人の労働者が毎日、コーンミールとキャベツを食べていることを知り、「ショックを受けた」と報じられた。副大臣は同社に食事内容の改善のほか、食事時間を設けることや、給料明細の発行など改善を求めたという。

一方、ジンバブエの中国大使館は同国の組合が「組織的な誹謗中傷運動を進めている」と非難し、労働者が虐待を受けているという組合の主張は「意図的に企業と労働者の信頼関係を損なっている」と反論した。

2000年代の選挙プロセスの混乱や政治暴力の横行から、欧米各国はジンバブエ政府高官の渡航禁止、資産凍結等の制裁措置を実施。欧米諸国との関係悪化を受け、ジンバブエは中国やイランとの関係を強化してきた。

多くの中国企業が同国に進出したが、ジンバブエ人労働者は、経営側による暴力行使、不規則な労働時間、低賃金などに対して、抗議の声を上げ、反中感情が高まっている。

(翻訳編集・李沐恩)