米司法省は22~23日、昨年ビザ詐欺で逮捕された中国軍の研究者5人の起訴を取り下げた。
5人の逮捕は、中国による米国の知的財産窃盗事例の増加に対応するため、トランプ政権時代に米司法省が立ち上げた「中国イニシアティブ(China Initiative)」の取り組みの一環だった。
5人は、ビザ申請時に中国軍との関係を隠していたとして告発されているが、全員無罪を主張した。
司法省23日の声明によれば、起訴の取り下げは「公正のためだ」としている。
司法省のウィン・ホーンバックル(Wyn Hornbuckle)報道官は声明の中で、「最近の進展により、司法省は中国軍との関係を明かさなかったとされる少数の案件について、再評価することになった」とその理由を説明した。
また、「中国による米国の安全や学術の信頼への脅威に対して、司法省は引き続き非常に重視し、対処していく」と付け加えた。
司法省の高官はメディアに対して、ビザ詐欺の場合、通常数カ月の懲役を言い渡されるが、被告らは1年前に逮捕されて以来、米国内で拘束されていたと述べた。
司法省は、さらなる訴訟によって被告らが米国を離れる時間を不必要に長引かせることになるとの考えを示した。また、逮捕後の経験はすでに十分な罰と抑止力を与えたという。
司法省が訴訟を取り下げた後、元スタンフォード大学の脳疾患の客員研究員、宋琛(ソン・チェン)氏の弁護士は、「政府の行動は正しい」と述べた。
また、カリフォルニア大学デービス校のがん治療の客員研究員、唐娟(ジュアン・タン)氏の弁護士によれば、「彼女は政府の決定に満足しており、できるだけ早く中国に帰国する予定だ」という。
宋琛氏は昨年7月、ビザ申請時に中国の軍人である事実を隠ぺいし、虚偽の陳述を行ったなどの罪で起訴されていた。
唐娟氏はビザ申請を行った際、中国軍との関係を隠して米国査証(ビザ)を不正取得した疑いを掛けられていた。昨年7月23日に逮捕されるまでの約1カ月間、在サンフランシスコ中国総領事館に逃げ込んでいた。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校の人工知能研究者である関磊(Guan Lei音訳)氏の弁護士は、「クライアントを誇りに思っている」と語った。
他の2人の科学者である、カリフォルニア大学サンフランシスコ校の客員研究者である王欣氏や、インディアナ大学の博士課程の学生である趙凯氏の弁護士は、コメント要求に応じなかった。
一方、米中関係の緊張が高まるなか、米国務省ナンバー2のウェンディー・シャーマン副長官は26日、中国・天津で王毅国務委員兼外相らと会談する。
米司法省は、5人の起訴取り下げと今回の高官訪中との関連性を否定した。
(翻訳編集・李凌)
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