日米豪印の相互運用性と可能性を象徴する「マラバール2021」

2021/09/02
更新: 2021/09/02

2021年8月下旬から開始された「マラバール2021(Malabar 2021)」演習の一環としてオーストラリア、インド、日本、米国がグアム沿岸に軍艦を派遣し、洗練性と範囲の面で拡大を続ける提携関係および相互運用性の強化を図っている。

通称「Quad(クワッド)」として知られる日米豪印戦略対話に参加する4か国の専門家等が鉱物サプライチェーンから製薬、通信技術に至るまでのさまざまな課題における安保協力の強化を訴える中、多国間海軍演習が8月26日から29日までの日程で実施されている。

ザ・インディアン・エクスプレス(The Indian Express)紙に対し、インド海軍報道官のヴィヴィーク・マドワール(Vivek Madhwal)中佐は「参加海軍の駆逐艦、フリゲート、コルベット、潜水艦、ヘリコプター、長距離海上哨戒機を展開して実施されたハイテンポな演習」と説明した。マラバール2021演習には、インド海軍のステルスフリゲート「シヴァリク(INS Shivalik)」と対潜戦コルベット「カドマット(INS Kadmatt)」も参加している。 マドワール中佐は、「これまで実射訓練、対艦・対空・対潜戦訓練、合同作戦、戦術演習を含む複雑な水上・水面下・航空作戦が実施された」と述べている。

 防衛提携諸国の主張によると、マラバール2021演習により相互運用性の強化を図り、航行の自由が保証された「自由で開かれたインド太平洋」を維持することができる。同演習が実施される中、日米豪印戦略対話加盟諸国の首脳陣は「日米豪印首脳会談」を翌月にも米国で開催する方向で調整に入っている。

2021年の演習では米国が駆逐艦、海上哨戒機、対潜ヘリコプター、特殊部隊を展開し、海上自衛隊(JMSDF)が機雷敷設型潜水艦、海上哨戒機、対潜哨戒ヘリコプター、特殊部隊、そしてオーストラリア海軍が対潜哨戒ヘリコプターと特殊部隊を展開した。 ここ数か月の間にインドと米国は兵站から通信や情報共有に至るまでの広範な内容に関する防衛協定を締結し、着実にその提携関係を強化している。

msn.comが報じたところでは、ムンバイに本拠を置くシンクタンク「ゲートウェイハウス:グローバルリレーションズに関するインド評議会 (Gateway House: Indian Council on Global Relations)」が立ち上げたクワッド経済・技術任務部会(Quad Economy and Technology Task Force)の専門家等は2021年8月、日米豪印の民主主義諸国に対して、安保関係を拡大し、より広範な経済・技術問題における協力体制も確立することを要請している。

専門家等が求めているのは、製薬や鉱物のサプライチェーン、サイバーセキュリティシステム、金融技術、宇宙と6G技術、海底通信ケーブルに関する協力である。

ゲートウェイの専門家等によると、地金や石油のような商品の金融市場を構築することで、希土類(レアアース)や他の重要鉱物のサプライチェーンを強化することができる。

日米豪印戦略対話の参加諸国が希土類と鉱物のサプライチェーンの管理を監視する機構を構築できれば独占や人為的な不足を回避することもできる。 専門家等の説明では、開発途上国が最先端の金融技術を利用できる環境を整える必要もある。

専門家等は、「日米豪印戦略対話加盟国とその提携諸国は国際電気通信連合(ITU)などの国際機関への関与と指導力を積極的に調整することで、情報通信技術(ICT)の規格設定に影響力を与える必要がある」と述べている。

(Indo-Pacific Defence Forum)