陸上自衛隊が約10万人を動員し演習、30年来最大規模 島しょ部への攻撃も想定

2021/09/15
更新: 2021/09/15

中国共産党軍による軍備拡張や領海侵入が繰り返され、北朝鮮が弾道ミサイルを発射するなど安全保障環境が悪化するなか、予備自衛官を含む陸上自衛隊のほぼ全部隊が参加する大規模演習が15日に開始されたことが、陸上幕僚監部への取材で明らかになった。

岸信夫防衛大臣は10日の記者会見で、大規模演習は「各種事態に実効的に対応するための抑止力・対処力を強化」するためのものだと説明。規模としては約30年ぶりとなる。訓練では、陸海空自衛隊による輸送のほか、米軍や民間の輸送力も活用する。

大規模演習は9月15日から11月30日までの間、全国約160か所の駐屯地や演習場で行われる。この演習の統裁官は、陸上自衛隊のトップである吉田圭秀・陸上幕僚長が務める。

岸防衛大臣によると、演習では島しょ部への攻撃等に効果的に対処すべく、必要とされる部隊を迅速かつ広範囲に機動展開するため、輸送力が鍵となる。そのため、自衛隊のみならず、米軍や民間の輸送手段をも活用し、全国規模での装備品や補給物資の輸送に焦点を当てた訓練を行う。

大規模演習の中では5つの種類の訓練が実施される。全部隊が駐屯地ごとに防衛出動のための必要な準備を実施する「出動準備訓練」、三個の師団または旅団を同時に機動展開する「機動展開等訓練」、防衛出動に応じ、所要の部隊を編成するため、予備自衛官を招集し、部隊を編成、訓練を実施する「出動整備訓練」、作戦に必要な補給品を集積・梱包して、その一部を各種輸送手段により、作戦地域に輸送する「兵站(へいたん)・衛生訓練」、そして必要なシステム通信を全国に構成、維持、運営する「システム通信訓練」である。

陸上自衛隊も公式ツイッターアカウントを通して、「作戦準備段階に焦点を当てて、運用の実効性向上と抑止力・対処力を強化する」とコメントしている。

(王文亮)