中国軍機149機が台湾ADIZに 専門家「55万世帯に電力供給可能な燃料を消費」

2021/10/07
更新: 2021/10/07

中国当局が各地で電力の使用を制限しているなか、中国軍は4日までの4日間、延べ149機の軍機を派遣して台湾防空識別圏(ADIZ)に進入した。台湾専門家は、中国軍機が使った燃料は中国の55万世帯1日当たりの電力使用量を供給できると批判した。

中国軍機は、1日に38機、2日39機、3日16機と4日56機を出動させ、台湾ADIZに進入した。

台湾の邱国正・国防部長(国防相)は5日、中国軍機が連日ADIZに進入したことは台湾国軍に「大きな圧力」を与えたと示したが、「国軍に戦備強化を促す力でもある」と強調した。

中国大陸政策を担当する大陸委員会の邱太三・主任委員は、中国軍の挑発行為は「国際平和条約に重大な違反を犯した」と非難した。同氏は、10月1日は中国共産党の政権樹立記念日であることを指摘し、「指導者らは中国国民に、軍事力と国力の増大を誇示したい狙いがあるのだろう」との見方を示した。

台湾シンクタンク、国防安全研究院の蘇紫雲所長は米ラジオ・フリー・アジア(RFA)の取材に対して、中国軍機のADIZ進入は「表向きは台湾への圧力に見えるが、実際は、日米英などの合同軍事演習を狙っていた」との認識を示した。

海上自衛隊は4日、2~3日にかけて沖縄の南西海域で米国、英国、オランダ海軍、カナダ海軍、ニュージーランド海軍と合同演習を行ったと公表した。演習では、米空母「ロナルド・レーガン」と「カール・ヴィンソン」、英空母「クィーン・エリザベス」が参加した。日本のヘリコプター護衛艦「いせ」をヘリコプター空母とした場合、6カ国の合同艦隊は空母4隻となる。

蘇氏は、日米英などの合同演習が「同盟国の軍事連合作戦」の形を作ったため、中国当局は強く危惧したと推測。

いっぽう、蘇氏の試算では、中国軍機149機は約745トンの航空機燃料を消費した。55万8750世帯1日分の電力を供給可能な燃料だという。

蘇紫雲氏は、「米国防省の公表では、F-16戦闘機が1時間飛行すれば8800ドル(約98万円)のコストがかかる。ロシアのSu-30戦闘機も1時間の飛行に2万ドル(約224万円)必要だと言われている。台湾ADIZに進入した中国軍機149機は、国民の税金1億ドル(約112億円)を費やしたということになる」と述べた。

中国金融学者の賀江兵氏は、「中国国民の大半は台湾統一に興味がない」とRFAに語った。「当局が台湾を統一しても、国民にとっては何の利益もないからだ」という。

賀氏は、「中国当局が台湾侵攻をする気があれば、すでに侵攻した。今の挑発行為は、自らを奮い立たせるために過ぎない」と指摘した。

(翻訳編集・張哲)