国際オリンピック委員会(IOC)のジョン・コーツ(John Coates)副会長は13日、豪首都キャンベラで開かれたイベントで北京冬季五輪のボイコット要求について、「IOCの仕事ではない」とし、人権問題で中国に圧力をかけることはできないと表明した。
同氏は、「IOCの仕事は、オリンピックの活動に関わる人々を守ることである」と強調し、「IOCは世界政府ではない」「五輪開催国の主権を尊重しなければならない」とする考えを示した。
北京冬季五輪(来年2月4~20日)の大会開幕が迫る中、開催国である中国の人権記録を批判する声が国際社会で高まっている。
人権団体や多くの米議員は、北京が新疆ウイグル自治区での少数民族への迫害をやめない限り、大会の延期または開催地の変更をIOCに要求している。
多くの国や団体は、中国当局による新疆ウイグル人への迫害が「ジェノサイド(集団殺害)」にあたると主張している。
退任を控えたドイツ連邦議会スポーツ委員会のダグマー・フライターグ(Dagmar Freitag)委員長は、北京五輪のボイコット要望があることを把握しているとし、「私は個人的に、米国のナンシー・ペロシ下院議長が提案した外交的ボイコットに賛同している」とメディアに語った。ドイチェ・ヴェレは11日の報道で伝えた。
ペロシ氏は5月、ウイグルでの人権侵害問題を理由に、外交的ボイコットを呼びかけた。「選手は出場しても、各国の政府首脳は欠席すべき」と提案した。
米議会ではペロシ氏をはじめ、北京での開催を疑問視する声が超党派で広がっており、7月には北京五輪のスポンサー企業に対する公聴会が行われた。
クリス・スミス下院議員(共和党)は、開催地が変更されないかぎり、五輪協賛を辞退するようスポンサー企業に促した。
欧州議会でも7月、中国が香港市民やウイグル人の人権問題について改善する姿勢を示さなければ、北京冬季五輪への出席を見送るよう欧州連合(EU)加盟国の政府関係者に求める決議を可決した。同決議に法的拘束力はない。
(翻訳編集・李凌)
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