人工知能とは、人間が持つ問題解決や意思決定の能力を、コンピュータのソフトウェアや機械を使って模倣することだ。その機能には、テキスト、音声、画像認識、および特定のスキルを持つロボットなどが含まれる。具体的には「システムが外部のデータを正しく解釈し、そのデータから学習し、柔軟に適応することで特定の目標やタスクを達成する能力」のことだ。
AIの幅広い応用には、グラフィックプロセッシングユニット(GPU)とデータという2つの重要な要素がある。GPUは計算能力を、データの質はAIのトレーニングに必要な時間を決定する。
CPU(中央演算処理装置)は、コンピュータの頭脳として多くの計算を行っているが、数個のコアと多くのキャッシュメモリーで構成されており、一度に扱えるソフトウェアの数は限られている。
一方、GPU(グラフィックス・プロセッシング・ユニット)は、数百個のコアで構成されており、並列計算が可能だ。AIアプリケーションでは、中央演算処理装置(CPU)よりもグラフィックプロセッサ(GPU)が注目されている。GPUは特に、分析・予測や機械学習などの計算を行うのに適している。
GPU業界では、米国が絶対的な優位性を持っている。トムス・ハードウェアによると、2021年第1四半期のディスクリートGPU市場では、NVIDIAが81%という圧倒的なシェアを占め、残りの19%をAMDが占めている。米国のこの2社がディスクリート(単一目的を達成する機能を持つ)GPU市場を独占していたのだ。
Center for Data Innovationが2019年に発表した報告書では、人材、研究、開発、採用、データ、ハードウェアという6つのカテゴリーの評価指標で、米国、中国、欧州連合のAI競争における相対的な立ち位置を比較した。その結果、人材、研究、開発、ハードウェアの4つのカテゴリーでは米国がリードしており、残りの2つのカテゴリー、採用とデータでは中国がリードしていることが分かった。
中国はその巨大な人口を自国のAI技術の収集と開発に利用している。米国特許商標庁(USPTO)の特許審査官であるティモシー・タン氏は、中共が人権やプライバシーを意に介さないため、大規模なデータセットが開放されていると述べた。いっぽう、米国が個人の権利を尊重しているため、入手できるデータは不完全だという。
タン氏によると、中共は中国のテクノロジー企業に、さまざまな手段でユーザーのデータを収集させている。収集データはAIの訓練に使用され、AIアプリケーションの開発を急速にスピードアップさせる。
「AI技術のリスクを懸念する西洋社会には道徳的規制や法的な制限がある。プライバシー保護もある。このため収集データの質は良くないかもしれず、良いアプリケーションを作り出す可能性は低い」とタン氏は述べた。「AIは(米国では)簡単な産業ではない」
「しかし、中共にはそのような懸念はない」と同氏は付け加えた。「懸念の欠如が、広範囲なデータ収集と監視を可能にしている」。
(つづく)
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