日米首脳、21日にテレビ会談 中共の脅威に対抗し「揺るぎない絆」示す狙い

2022/01/17
更新: 2022/01/17

岸田首相と米バイデン大統領が21日夜にオンラインで首脳会談を行い、安全保障や地域情勢など共通の重要課題について議論を行う。松野官房長官が17日の記者会見で明らかにした。中国共産党政権が影響力強化を画策するなか、両首脳は「自由で開かれたインド太平洋」構想や日米豪印戦略対話「クアッド」について意見交換を行い、信頼関係を深める狙いがある。

日米同盟の揺るぎない絆を世界に示す

松野官房長官は「日米同盟はインド太平洋地域そして国際社会の平和と繁栄の礎であり、日本の外交安全保障政策の基軸である」と述べ、2022年初となる首脳会談が「日米同盟の揺るぎない絆を世界に示す」機会になることを期待していると発言した。

米ホワイトハウスも16日付(現地時間)の発表で、バイデン大統領は「政府、経済、そして民間の相互の連携を深化させ」、「新型コロナウイルス対策や気候危機対応、クアッドなどにおける新技術の提携など、重要な問題で緊密な協力関係を拡大する」考えがあると示した。

岸田首相は就任後、早期に訪米しバイデン氏と首脳会談を行うことを目指してきたが、新型コロナウイルスのオミクロン変異株の感染拡大により日程調整が困難となっていた。

防衛力強化を進める日本が収めた3つの「成功」

共産主義体制の中国が周辺国に対し武力を背景とした圧力をかけるなか、日本は装備品の調達を通して防衛力向上に努め、人権や法の支配といった普遍的価値観を共有する同盟国との連携強化を図ってきた。

米保守系シンクタンク「ヘリテージ財団」のブルース・クリングナー上級調査顧問は日本の動きを高く評価し、日本が3つの成功を収めたと論じた。

一つ目は日本が米国と台湾有事を念頭に行動計画を練り始めたことだ。昨年末、台湾有事作戦における日米共同作戦計画の原案策定について共同通信が報じた。今月7日に行われた日米安全保障協議委員会(2プラス2)では米軍の臨時拠点に関する具体的な言及はなかったが、成果物の共同文書には南西諸島での自衛隊の態勢強化や日米双方による施設の共同使用を加速させることが記された。

また、日豪が防衛と安全保障分野での連携強化に関する「円滑化協定」の署名も挙げられた。協定により、相互の軍事施設・港湾へのアクセス、後方支援、法制度などが調整され、実践的な軍事協力を拡大することが可能となった。

日米両政府は7日、在日米軍の駐留経費の日本側負担分について、共同訓練の負担額に関する項目を新たに設けた特別協定に署名した。協定により、日本は新年度からの5年間の総額でおよそ1兆550億円を負担することとなった。

日本は2021年版防衛白書のなかで「台湾情勢は日本の安全保障にとり重要」であると初めて明記した。こうした動きのなか、クリングナー氏は岸田政権について「細かな政策でも次々と重ねていくことで日本の明晰さを最大限に活かすことが可能となる」と評している。

クリングナー氏の論評はシンクタンクが運営するウェブサイトで公開されている。

日本の安全保障、外交、中国の浸透工作について執筆しています。共著書に『中国臓器移植の真実』(集広舎)。