大寒波に襲われ、中国各地で交通マヒ 高速道路では立ち往生が3日間も

2024/02/07
更新: 2024/02/07

旧正月(春節)の長期休暇を控える中国。人々は帰省や旅行で大移動する時期であるが、特に華中地区(河南、湖北、湖南)ではここ1週間ほど大寒波に見舞われ、連日のように降る雪やみぞれの影響で、人々の移動に深刻な混乱をもたらしている。

高速道路では、路面凍結による大規模な追突事故が発生している。列車や旅客機も遅延や運休、欠航が多く生じているため、大勢の乗客が駅や空港で夜明かしするなどの混乱が生じている。

なかでも辛いのは、全く動かない高速道路の上に置かれたまま長時間、ひどい場合にはなんと3日間も「立ち往生」していることだ。

その高速道路を、やっと抜け出た湖南省の市民は「平常ならば1時間ほどの道のりだ。今回は、11時間半もかかった」という。

まだ高速道路上にいて、極限に達したある運転手は「一刻も早く動いてほしい。ここで立ち往生してもう3日になる。食料も水もない。どうか助けてほしい」とSOSを発信している。

寒波の影響による交通関係の混乱は深刻で、ネット上は救援や支援を求める投稿であふれている。しかし政府の救援対応電話は、なかなか通じないという。

(雪が降る高速道路上で、飲まず食わずのまま、3日間も立ち往生している帰省者)

食料や水が尽きたため、路上で立ち往生する市民のなかには、雪水を沸かして飲み始める人もいる。

なかには、高速道路のフェンスを乗り越え、近くの村へ行ってビスケットやカップ麺などを買う市民もいる。

湖南省の高速道路では、50時間以上渋滞に巻き込まれたため、ついに精神的に限界となり「家に帰りたい!」と泣き出す男性まで現れた。

また、この絶望的な渋滞に痺れを切らし、車を乗り捨てて徒歩で帰宅しようとする人も続出しているという。

しかし、十分な装備や食料もなく、雪の道を「徒歩」で帰ろうとすること自体、生命の危険がある無謀な行為だろう。そうした冷静な判断力さえ麻痺するほど、追い詰められていると言ってよい。

高速道路が「動脈硬化」を起こして使用不能ならば、列車はどうであろうか。

湖北省武漢の鉄道駅でも、大勢の乗客が足止めされている。なかには6時間以上も遅延する列車もある。本来は1時間余りで目的地へ着くはずが、吹雪のために15時間も列車内で足止めを食らったという乗客もいる。

武漢の空港は積雪のため、滑走路が閉鎖された。現地時間の2月5日午前9時時点で、欠航になった便数は278便に上る。2月4日、武漢天河空港に30時間も足止めされたという女性によると、この大混乱のなかで、疲労のため倒れる乗客もいたという。

湖北省や湖南省では、市場の屋根が積雪で崩落する事故まで起きている。2つの事故でそれぞれ1人が死亡したと報じられているが、当局の情報規制がかかっている可能性もあるため、実際の死傷者数は不明である。

寒波にともなう、各地での大混乱の事態に、ネット上では「災害を前にして、全く頼りにならない中共政府」を非難する声が広がっている。

(高速道路で50時間以上渋滞に巻き込まれて、ついに「家に帰りたい」と泣き出す湖南省の男性)

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。