日本、北朝鮮のスパイ衛星打ち上げを受けて監視能力を強化

2024/02/07
更新: 2024/02/07

北朝鮮による最近のスパイ衛星の配備は、地政学的緊張をあおり、日本とその提携国に安全保障上の懸念を抱かせた。岸田文雄首相は、この打ち上げを「関連する国連決議への明確な違反だ」と表現した。

北朝鮮の発射を受け、日本は2024年1月中旬に偵察衛星を軌道上に打ち上げた。 日本はまた、地域の提携国と防衛演習を行ったり、北朝鮮の脅威に対抗するための協力的な取り組みを行っている。

2023年11月の北朝鮮のスパイ衛星打ち上げは、2度の失敗を経て実現したもので、北朝鮮の指導者である金正恩(キム・ジョンウン)のレトリックが激しさを増した時期と重なった。 金正恩は、人工衛星、核兵器、自律型戦闘装置など、孤立した自国の軍事能力を拡大するよう呼びかけた。

東京の国際基督教大学のスティーブン・ナギー(Stephen Nagy)教授(政治・国際学)はFORUMの取材に対し、「北朝鮮のスパイ衛星の能力はたいして優れていないと思われるが、ICBM(大陸間弾道ミサイル)能力を強化・強化する広範な戦略の一環だ」とし、 「スパイ衛星打ち上げロケット、ナビゲーション能力、技術はすべて大陸間弾道ミサイル技術の重要な要素だ」と述べた。

東京に拠点を置く日本のシンクタンク、国際文化会館(International House of Japan)アジア・パシフィック・イニシアティブ地経学研究所主任研究員の小木洋人氏によれば、北朝鮮の偵察衛星開発は、戦争状況下でミサイル能力を運用する意思を反映したものだという。

「北朝鮮が本当にどこまで衛星を運用できるかは不明だが、核戦争の脅威という観点から、関連する能力について警戒を続ける必要がある」と同氏はFORUMに語った。

韓国の情報当局は、ロシアが北朝鮮のスパイ衛星計画を支援している可能性が高く、この地域の地政学的力学を不安定化させていると述べている。 日本、韓国、米国を含むインド太平洋地域の提携国は、北朝鮮はロシアのウクライナに対する理不尽で一方的な戦争に通常兵器を提供する見返りに、ロシアから軍事技術を得ようとしていると主張している。

日本は最近、種子島宇宙センターから情報収集衛星「光学8号機(Optical 8)」を打ち上げるなど、対応と監視能力を拡大している。 同月、日本、韓国、米国は、米空母カール・ビンソン(USS Carl Vinson)も参加し、北朝鮮のミサイル脅威への対応に焦点を当てた海軍訓練を実施した。 これら三国はまた、北朝鮮のミサイル活動を監視するためのリアルタイム情報共有システムも配備している。

実際、北朝鮮のスパイ衛星発射は裏目に出る可能性がある、と陸上自衛隊退役少将の吉富望氏はFORUMに語った。 衛星の能力は、おそらく商業用の偵察衛星に劣るか、良くても同程度のものだとみられる。 北朝鮮はすでにロシアのような国から監視衛星画像を購入できるため、衛星は限られたメリットしかもたらさないだろう。

日本大学危機管理学部教授を務める吉富氏は、「その意味では、北朝鮮の軍事行動は、情報共有やミサイル防衛などに関する追加的な協力行動も含め、日米韓3か国の軍事協力の強化に役立つ」と述べた。

2023年12月には、日本、韓国、米国の国家安全保障担当補佐官が韓国で会談し、北朝鮮の弾道ミサイルや宇宙開発、サイバー犯罪や暗号通貨によるマネーロンダリングに対抗するイニシアチブを発表し、協力関係のさらなる強化が強調された。

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
Indo-Pacific Defence Forum
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