米連邦準備理事会が再び利下げ先延ばし マーケットも停滞

2024/08/10
更新: 2024/08/10

私はMarketWatchに寄稿したオピニオン記事で、米連邦準備理事会(FRB)は何を待っているのかと問いかけた。FRBは失業対策にもっと注意を払うべきだ。現在発表されている解雇の情報により、10月までに失業率が5%以上に達する可能性がある。失業率の上昇、PCE物価指数(アメリカ国内個人消費物価の平均的上昇を示す指標)の低下、米国債利回りの急落を踏まえ、FRBは今すぐ行動し、8月下旬のジャクソンホール会議 [1]前に0.5%の利下げを実施するべきだ。

[1] ジャクソンホール会議
カンザスシティ連邦準備銀行が主催する世界各国の中央銀行総裁や財務大臣、学者、金融市場関係者が参加して、経済政策について議論する重要なイベント。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長による講演は金融市場から非常に注目されている。

日本のキャリートレードは今週の株式市場の動揺を引き起こした。日本の投資家は、米国債の高利回りと日本の同等の金利との比較で、米ドルの対円価値の上昇から利益を得ていた。しかし、不況の恐れが高まる中で、米国債の利回りが急落し、日本のキャリートレードが一時的に解消され、日経225が5日に12.40%急落し、6日に10.23%回復した。さらに、8月はウォール街と欧州の投資家らが休暇中であるため、市場の変動が続くことが予想される。

以下は、最も重要な市場ニュースとその意味についての要約。

アメリカの消費者は依然として経済的なストレスを抱えている。その最新の証拠として、マクドナルドが2020年以来初めて四半期の売上高の減少を発表した。具体的には、第2四半期のマクドナルドの既存店売上高が1%減少した。これは大きな驚きではなく、フライドポテトの供給業者であるラム・ウェストン(Lamb Weston)も、レストランと消費者への売上が期待外れであったと報告している。

しかし、この売上減少の一部はデフレーションが原因の可能性もある。マクドナルドのCEOは、5ドルのお得セットが非常に好評であり、売上を伸ばすためにその提供を延長する予定だと述べた。さらに、バーガーキングやKFCも5ドル(約750円)のセットメニューを導入している。アメリカ大手小売、ターゲット、ウォルマート、激安スーパーのアルディは食品や一部の日用品の価格を引き下げており、アマゾン、米大手薬局のウォルグリーンズ、米大手家電販売ベストバイも選定品目の値下げを発表している。

もう一つの大きな消費者ニュースとして、アルコール飲料大手のディアジオが消費者は「異常な環境」に直面していると警告し、2020年以来初めて売上高の減少を発表した。具体的には、ディアジオは、年間売上高が1.4%減少し、販売数が5%減少したと述べている。

これは消費者が消費を抑制しているためだ。特にインフレに苦しみながら生活費を捻出している消費者の下位20%において、消費者の苦境の兆候が広がっている。FRBが消費者の苦境の兆候を必要としていたとしたら、マクドナルドの13四半期ぶりの売上減少がその証拠だ。これがFRBが主要金利の早期引き下げの助けになることを期待している。

もしかしたら、アメリカ経済が消費支出が不安定な中でも成長することを疑問に思うかもしれない。その理由は生産性にある。労働省は8日、第2四半期のアメリカの生産性が年率2.3%増加し、第1四半期の改定値0.4%から大幅に上昇したと報告した。これは、経済学者のコンセンサス予想の1.8%の生産性増加を大きく上回る結果だった。理論的には、この生産性の向上はAIや在庫管理の改善が一因と考えられる。利益が労働コストよりも速く上昇し続ける限り、生産性は今後も上昇を続けるであろう。

ベネズエラで最近行われた選挙が示すように、世界中にはまだ多くの混乱が残っている。イスラエルがテヘランのハマス指導者の自宅とベイルートのヒズボラ司令官を襲撃したことで、中東もまた危険な状況にある。イランの最高指導者ハメネイ師は「報復する義務がある」と述べ、イスラエルに「厳しい罰」を加えると宣言した。このため、イランとその代理勢力がイスラエルを脅かし続ける限り、原油価格は高止まりするだろう。

7月のISM(全米供給管理協会)サービス部門調査は、多くの経済学者の予想よりも好調だったが、8つのサービス部門が依然として縮小しているという事実は懸念される。ISMは、7月の非製造業サービス指数が6月の48.8から51.4に上昇したと報告している。調査対象の18のサービス業種のうち10業種が7月に拡大を報告したが、以下の8業種は依然として収縮している。 (1) 農業、林業、漁業、狩猟、(2) 不動産、賃貸・リース、(3) 卸売業、(4) 小売業、(5) 専門職、科学技術サービス、(6) 情報、(7) 教育サービス、(8) その他のサービスである。

要するに、不況の懸念が現実のものとなっており、FRBは直ちに行動する必要がある。8月は厳しい月となりそうだ。国債の利回りの急落は今後の経済成長を促進する非常に強気なシグナルであり、FRBはこれ以上、市場金利に対抗できない状況だ。幸いにも、FRBは9月18日までに主要金利を引き下げ、アメリカ経済に大きな刺激を与える見込みだ。

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
ネバダ州リノにある Navellier & Associates の会長兼創設者で、同社は約 10 億ドルの資産を管理しています。 ウォール街の著名な成長投資家の 1 人として、成長投資に焦点を当てた 5 つの投資ニュースレターを執筆しています。ブルームバーグ、フォックス ニュース、CNBC に出演して市場の見通しや分析を披露するほか、バロンズ、フォーブス、フォーチュン、インベスターズ ビジネス デイリー、マネー、スマート マネー、ウォール ストリート ジャーナルにも取り上げられています。
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