中国の深刻な社会問題を暴いた弁護士や記者らが「失踪した」として、その身の安全を懸念し、声援を呼びかける声が華人圏の間で高まっている。
今月に中国の「遺体転売ビジネス」を告発した易勝華(いーしょうほう)弁護士。
先月「液体燃料と食用油の混載」を報道した中国メディア「新京報」の韓福涛(かんふくとう)記者。
「2人のSNSはいまや『空っぽ』になり、本人とも連絡がとれない(今月12日時点)」として、2人の勇気ある告発者の身を案じる声が高まっており、「中国政府の弾圧に遭っている2人を救え!」「拡散することによってのみ彼らを守れる」といった呼びかけが広がっている。
易勝華弁護士の場合、「自身が北京市司法局から事情聴取を受けることになった」など、弾圧されている現状について自身のSNSで明かしており、その所属弁護士事務所である「北京勇者律師事務所」の通告文から「主任の役職を下ろされたこと」がわかっている。
「大の大人だ、たかが連絡とれなくなっただけで、ここまで大騒ぎすることか……?」中国で生活していない文明国の読者のなかには、そう不思議に思う人もいるだろう。
しかし、中国で「社会問題を告発する」ことは自身の命、ひいては一家の運命までかけなければならない勇気ある行動なのである。
過去にも「有毒ミルク」や「有毒ワクチン」などさまざまな深刻な社会問題を告発した「最初の人」が政府から弾圧を受け、毒を盛られたり、失踪させられたり、命を落としたりの実例が大量にある。
つまり、結論として「中国で告発した者は誰一人として良い結末を迎えていない」のである。
自身の告発がもたらす深刻な結果を承知していたのだろうか。易勝華弁護士は、告発後のSNS投稿で「バラバラ死体になりたくないから、外国メディアの取材はお断りします。官製メディアに勤める友人の取材しか受けていない」と公言していた。
(「2人の勇者への声援を呼びかける」中国問題専門家、李沐陽氏による投稿)
「地獄は空っぽ」
「悲惨な結末を迎えることになる」のは告発者に限らず、世間を震撼させた事件の被害者とその家族も同じである。
中国の人身売買の闇を浮き彫りにした「鉄鎖の女性事件」の被害者である8人の子供を産させられた母親(いまは精神病院で監禁中とされる)、官民癒着の「唐山集団暴行事件」の被害女性4人(全員惨死したとされる)、臓器狩り被害者とされる「胡鑫宇事件」の被害者の胡鑫宇くん(死亡)の家族(失踪か)などなど。
中国で悲惨な事件が起きるたび、そのコメント欄に必ずといっていいほど、書き込まれる言葉がある。
「地獄は空っぽだ、なぜならば悪魔はみな人間界にいる(原文:地獄空蕩蕩,惡魔在人間)……」
誰がつくった言葉かは不明だが、この言葉が示しているのは、まさに現代中国のリアルである。
「昔の中国人は優しくて、素朴だった」と筆者の同僚はいつもいう。
「なぜ今の中国はこうなってしまったのか?」
「どうしたら中国は元の良かった中国に戻れるのだろうか?」
その答えはエポックタイムズの社説『九評共産党(共産党についての九つの論評)』にある。(リンクはこちらをクリック)
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