新たな米中関係 ハリス氏とトランプ氏の対中政策(上)

2024/08/27
更新: 2024/10/29

2024年のアメリカ大統領選挙に向けて、民主党共和党の両候補は共に、中国共産党(中共)との競争においてアメリカの勝利を確実にすると約束している。中共への対処について、どちらの戦略が優れているのだろうか。

8月22日、民主党全国代表大会で正式に大統領候補に指名されたカマラ・ハリス氏は、「アメリカは21世紀の中共との競争に勝利する。私たちは、世界的なリーダーシップを強化し、放棄しない」と宣言した。

また、大統領としてアメリカの安全と価値観を守る決意を表明し、「民主主義と専制主義の長期戦において、私はアメリカの立場、いわゆるアメリカがどこに属するかを確信している」と述べた。

この発言は、2021年4月にバイデン大統領が国会で行った演説を反映している。バイデン氏はその演説で、「我々は21世紀の勝利を得るために、中国や他の国々と競争している」と述べた。そして、大学教育の無償化、研究開発への投資拡大など、国を強化するための野心的な計画を提示した。計画の目的は明確であり、中共の挑戦に対抗することである。

20世紀末からアメリカは中国の経済発展と技術進歩を支援し、中国に最恵国待遇を与え、世界貿易機関(WTO)への加盟を後押ししてきた。しかし、近年アメリカは中共を唯一の競争相手と見なすようになった。

2022年10月にバイデン政権が発表した「国家安全保障戦略」では、中国は「国際秩序を再構築する意図を持ち、それを実現するための経済力、外交力、軍事力、技術力をますます高めている唯一の国」とし、中共は「国際秩序を変える意思と能力を兼ね備えた唯一の競争相手」と位置づけている。

2020年5月、トランプ政権は対中戦略文書を発表し、アメリカの立場が変わった理由を説明した。文書では、中国の急速な経済成長と対外関係の増加がアメリカの期待通りに中国を自由で開かれた社会へと導いていないと指摘している。

逆に、中共は自由で開かれた国際ルールを利用し、利益とイデオロギーに合わせて国際秩序を変えようとしている。中共は経済、政治、軍事力を駆使して各国を脅し、アメリカの重要な利益を損なうとともに、世界各国の主権と尊厳を侵害している。トランプ政権は中共の挑戦に対応するため、競争する戦略を採用した。

7月15日、トランプ氏は2024年大統領選挙に向けて共和党の候補者に正式に指名された。そして8月22日、ハリス氏が民主党の候補者に正式に指名された。これまでのところ、両党が中共との競争に勝つために掲げる主要な戦略は、それぞれ異なったアプローチを取っている。

 

対中貿易を減らす

貿易はアメリカの対中政策において最も重要な議題の一つであり、反中共の立場は両党から支持を受けている。共和党と民主党は、対中貿易赤字の削減や中国からの輸入依存を減少させることに同意しているが、その目標を達成するための戦略には違いがある。

トランプ 最恵国待遇の撤廃

バイデン政権が採用する、より具体的な戦略に対し、トランプ氏はより広範で包括的な貿易障壁を取っている。トランプ氏の貿易戦略の主な目標は、中国に奪われた製造業の雇用をアメリカに取り戻すことである。

トランプ氏は2024年の選挙公約で、ほとんどの外国からの輸入品に対する普遍的な基本関税を課すことを提案している。また、通貨の切り下げや他の不公平な貿易行為を行っている国に対して、段階的に関税を引き上げるメカニズムを導入することを提案している。トランプ政権時には、中国を通貨操作国と認定していた。

さらに、トランプ氏は「中国への依存を終わらせる」ための一連の貿易障壁を設けることを約束しており、その中でも最も極端な措置は、中国の最恵国待遇を撤廃することだ。この提案は、超党派のアメリカ下院対中共特別委員会などからも支持を受けている。

加えて、トランプ氏は「すべての必需品において中国からの輸入を4年間で段階的に停止する」計画を約束しており、この中には電子機器や鉄鋼、医薬品などが含まれている。

バイデン氏とハリス氏 中国製EV関税を100%に引き上げ

バイデン政権もトランプ政権と同様に対中貿易を抑制する姿勢をとっているが、バイデン政権のアプローチはよりターゲットを絞ったものである。バイデン氏は再生可能エネルギー、重要資材、半導体、医療製品など特定の戦略分野を対象にしている。

2024年5月、バイデン政権は中国からの14種類の輸入品に対して関税を引き上げた。これには、中国製EVの関税を4倍に引き上げて100%にすることや、半導体や太陽電池などの商品の関税を倍増させて50%にすることが含まれている。

ハリス氏の公の発言では、彼女が対中貿易に関してバイデン政権と基本的に同じ立場を取っていることを示している。同氏はCBSのニュース番組フェイス・ザ・ネーションでのインタビューで、アメリカの対中政策は「デカップリング(分離)ではなくリスク回避だ」と述べ、中国への依存を減らすことを支持している。

 

韓江
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