国際 現代中国の「タンクマン」

【動画あり】「四通橋事件」2周年 「首謀者を釈放せよ」世界各国でデモ

2024/10/16
更新: 2024/10/17

2022年10月13日の正午ごろ、北京「四通橋」の上に、習近平政権を真っ向から批判し、中国共産党(中共)党首に対して「独裁の国賊、習近平を罷免せよ!(罢免独裁国贼习近平!)」と名指しで罵倒する横断幕が掲げられた。

彭載舟(ほうさいしゅう 本名・彭立發)氏によるこの単騎での抗議は後に起こる「白紙革命」や「花火革命」の先駆けともなった。以来、彭氏は「四通橋の勇士」と呼ばれ、中国政府に立ち向かう人々の象徴的存在となった。

 

2022年10月13日正午ごろ、北京の陸橋「四通橋」に掲げられた、中国共産党政権へ抗議するスローガン(SNSより)

 

(2022年10月13日、「四通橋事件」)

 

世界を驚かせたこの「四通橋事件」から2周年が経ち、「首謀者の釈放」を求めるべく世界各国でデモ集会が行われた。

米ロサンゼルスをはじめ、カリフォルニア(米)、ニューヨーク(米)、英ロンドンにある中国領事館前、仏パリの中国領事館前、ニュージーランドのオークランド、アイスランドでも同様の彭氏の釈放を求めるデモが行われた。

国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチも11日、中国当局に対して「彭氏の釈放」を求める声明を出している。

 

ブリッジマン」は今は獄中

「四通橋の勇士」彭載舟氏は建設業者を装い、横断幕を掲げ、歩行者や往来する車の注意を引きつけるために、可燃物に火をつけて煙を作り、スローガンを叫び続ける拡声器もつけた。横断幕には、「独裁の国賊 習近平を罷免せよ」と習近平を批判したものの他、「嘘は要らぬ、尊厳が欲しい。文革は要らぬ、改革が欲しい。独裁者は要らぬ、選挙権が欲しい。奴隷になるのは嫌だ 、公民でありたい」と中共政権の体制に対する現代中国人の心の叫びを記したものもあった。

彼は警察から逃げようともせず、抗議現場に留まり、最大の注目を集められるよう、警官にパトカーに押し込まれるまでの間、最大限の努力をつくした。当局に連行されて以来、彼は外界との接触を一切断たれ、今は投獄中とされている。

 

彭載舟氏一家の写真。(ネットより)

 

彭氏はいまも正式に起訴されることなく、大衆の前には姿を現していない。彼の妻と娘は当局の監視下に置かれて行動を制限され、他の親族も嫌がらせを受けている。

欧米のメディアは「四通橋の勇士」を、89年の六四天安門事件の際に戦車の前に1人で立ちはだかった「タンクマン」の姿を重ねて報道するとともに、この勇士に「ブリッジマン」の尊称を付与した。

今は「ブリッジマン」は拘束中ながら、その悲壮感あふれるワンマンショーはネットで拡散され、人々の記憶に確実に残った。

その不屈の精神に、多くの人が共感した。彭氏が北京の陸橋にかかげたスローガンは今や世界中の支援集会で掲げられるようになり、世界中の人々が、彼と同じ言葉を掲げて連帯を示し、釈放を中国政府に呼び掛けている。

 

 

米ロサンゼルス

約200の華人が参加した米ロサンゼルス中国領事館前で行われた集会(13日現地時間)では、米国在住のミュージシャン・格雷さんが創作したミュージックビデオ「彭載舟さん、後は私たちに任せて(交給我們,彭載舟)」が再生された。

「PCR検査は要らぬ、食べ物が欲しい。封鎖は要らぬ、自由が欲しい」

参加者らは彭氏が北京の「四通橋」に掲げたのと同じ内容の長さ10メートルに及ぶ巨大スローガンを掲げてデモ進行をし、彭氏が北京の警察によって逮捕される時のシーンや中共当局の拷問を受けているシーンを再現する演劇も行われた。

中国民主人権連盟南カリフォルニア地区の石慶梅主席は、天安門事件での抗議の象徴である「タンクマン」にちなんで、「この人は現代のタンクマンだ。14億の民衆が民主と自由を手に入れるために、この国のために、14億の民衆が民主と自由を手に入れるために、立ちあがったタンクマンだ」と彭氏を評した。

 

1989年の天安門事件で中国市民の抗議の象徴となっている「タンクマン」の写真(NTD新唐人テレビの報道より)

 

集会を主催したアメリカ在住の著名な人権活動家・界立建氏(「中国民主党」合同本部の副主席)は、「彭氏の2人の娘も中共当局によって逮捕され、監視・管理下に置かれて自由を失った、彭氏の故郷の黒竜江省を訪れる彼の支持者までもが逮捕・拘留されている」

 

「中国民主」プラットフォームの責任者である王応国氏は、「中共当局によって虐待され、抑圧されているすべての人は次の彭載舟かもしれない。1人でも多くの中国人が覚醒できるよう、私たちは中国本土の人々に対し、中共がしてきた邪悪なこと、真相を伝えなければならない」

なぜ、声援集会に来ているのか、「より多くの人々が真相を知った時は中国共産党が滅亡する時だ」と集会参加者たちは、口をそろえる。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!