深センでの男児刺殺から1か月も 中共は犯行動機など情報共有せず 

2024/10/18
更新: 2024/10/18

中国・広東省深セン市の深セン日本人学校の男児(10)が通学中に刺殺された事件は、今日で1カ月になる。拘束された容疑者(44)について、中共当局は「捜査中」として動機をいまだ明らかにしておらず、事件の背景は未解明。

中共外交部の毛寧副報道局長は16日の記者会見で、深センの事件は「法に基づき捜査を進めている」と述べた。一方、青木一彦官房副長官は18日の記者会見で、「一刻も早い事実解明と説明、日本人の安心・安全の確保、悪質で反日的なSNS投稿の取り締まりを強く求めていく」と表明した。

この事件の経緯について、中共外交部が「偶発的」と説明し、日本人を狙ったものでないことを示唆した。外交筋によると、日本政府は事件の情報提供を求めたが、中共側は動機などを明らかにしておらず詳細は不明のままだ。6月に発生した邦人母子殺害事件でも、中共当局から日本側に容疑者の動機などの具体的な情報は伝えられなかった。

専門家は、「中共による長年にわたる反日教育に根源がある」と指摘している。事件が起きた18日は満州事変の発端となった柳条湖事件が発生した日で、中国では「国恥の日」とも呼ばれ、今年で93年目を迎える。事件の前、在瀋陽日本総領事館は「9月は日本や日中関係に対して関心が集まりやすい時期」だとして、安全確保に十分注意するよう呼びかけていた。

中国東北部・吉林省にある長春偽満皇宮博物院の石碑には、「忘れ勿れ九・一八 江澤民」と刻まれている。

容疑者は自身が経営していた会社の譲渡をめぐって知人との間での金銭トラブルが生じていたとされている。深圳市の警察当局によると、容疑者は無職だった。2015年に東莞市で電信施設を破壊して警察に拘束された経歴がある。

6月にも、江蘇省蘇州市で、スクールバスを待っていた日本人母子ら3人が刃物を持った中国人の男に切りつけられる事件が発生。外務省は6月に中国東部の江蘇省蘇州で起きた日本人母子切り付け事件を踏まえ、日本人学校に通う子供の安全確保を徹底するため、来年度予算案の概算要求にスクールバスの警備員を配置する費用として3億5千万円を計上する。バス1台当たり警備員1人を配置する予定だ。

外務省が出す海外の危険情報で、中国は一部地域を除き、比較的安全とされる「レベルゼロ」のままとなっている。外務省の海外在留邦人数調査統計によると、中国の在留邦人は10万1786人おり、未成年者は2万人。北京や上海、香港などに11の日本人学校が存在し、3300人以上が通学している。

中国経済の低迷で、中国から外資が撤退する中、今回の事件により撤退の動きに拍車がかかったもようだ。