バイデン大統領、ウクライナ支援の継続を欧州同盟国に要請

2024/10/20
更新: 2024/10/20

ジョー・バイデン米大統領は、来年1月の退任を前に、欧州の同盟国にウクライナへの支援継続を求めている。バイデン大統領は現在ドイツを訪れ、10月18日にオラフ・ショルツ独首相、エマニュエル・マクロン仏大統領、キア・スターマー英首相と会談した。会談ではウクライナ問題と中東情勢についても話し合われた。

この会談は、ここ数週間の間に行われたウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領との個別会談を踏まえたもので、ゼレンスキー氏はその中でロシアとの戦争における勝利計画を説明していた。

ホワイトハウスのジェイク・サリバン国家安全保障担当補佐官は10月17日、エアフォースワンでの記者団に対し、バイデン大統領は退任後もウクライナへの長期的支援が継続されるよう、3人の首脳と協力していくと語った。「大統領の目標は、ウクライナへの支援を持続可能で長期的に制度化することだ」と述べた。

 米大統領選挙を前にした会談

今回の会談は、米大統領選挙が迫る中で行われた。選挙結果次第では、米国の外交政策に大きな変化が生じる可能性がある。民主党の大統領候補であるカマラ・ハリス副大統領は、現行のウクライナへの安全保障支援や対ロシア制裁の継続を示唆している。一方、共和党の候補であり元大統領のドナルド・トランプ氏は、戦争を早期に終結させると公約しており、紛争が続けばロシアとウクライナ支援国の間で大規模な戦争が発生する恐れがあると懸念を示している。

 米国抜きでも支援継続の姿勢を見せるNATO

こうした背景のもと、NATO加盟国は米国の関与があろうとなかろうと、ウクライナを支援し続ける意向を示している。ショルツ首相は「我々はウクライナを全力で支援している。同時に、NATOが戦争の当事者にならないようにし、紛争がさらに拡大しないよう注意を払っている。ウクライナのために必要な限り支え続ける」と述べた。

NATOの欧州加盟国は、米国の支援が不透明な中でもロシアの侵攻に対抗するウクライナ防衛を維持できるよう取り組んでいる。例えば、NATOは7月に新たな指揮部の設立を発表し、欧州のNATOの三つ星将官がウクライナ軍の訓練や装備の整備を監督する体制を整えた。また、キーウにNATO代表事務所を設置し、ウクライナとの連携を深める計画も進めている。これらは、ウクライナが将来的にNATOに加盟する際の準備を兼ねている。
 

ウクライナのNATO加盟に向けた課題

現時点でウクライナがNATOに加盟できないのは、領土の一体性が保たれていないことや、32か国のすべてのメンバー国からの支持を得られていないためである。特にハンガリーやトルコなど、ロシアに対する挑発的な行動を懸念する国々があるため、ウクライナの加盟がすぐに実現する可能性は低いとみられている。

ロシアのプーチン大統領は、ウクライナがNATOに加盟しないことを和平の条件にするべきだと主張している。

公正な平和の実現に向けて

トランプ氏がウクライナにロシアの条件を受け入れさせる可能性について質問された際、ホワイトハウスのジョン・カービー国家安全保障会議報道官は10月18日、バイデン政権はゼレンスキー氏の意向に沿った「公正な平和」を実現するために全力を尽くすと記者団に述べた。「どのような形の平和であれ、それがゼレンスキー氏とウクライナ国民にとって受け入れられるものでなければならない。ウクライナを抜きにした和平交渉はあり得ない」と強調した。

カービー氏は、今回のバイデン大統領の外国首脳との会談は、選挙を意識したものではなく、同盟国への支援に感謝を示し、集団安全保障についての政策協議に重点を置いたものであると説明した。

また、カービー氏はNATOおよび将来的なウクライナのNATO加盟支援が世界の安全保障において極めて重要であり、「米国のリーダーシップはここにいる指導者たちにとって重要だ」と述べた。

「米国は必要な存在であり、NATOの将来にはウクライナが関わっている。それは間違いない。まず私たちがするべきことは、この戦争でウクライナを勝利に導くことだ」

 

エポックタイムズ特派員。専門は安全保障と軍事。ノリッジ大学で軍事史の修士号を取得。