トラックドライバーの人手不足問題 政府が解決に向け数値目標を設定

2024/10/22
更新: 2024/10/22

トラックドライバーの人手不足解決に向け、政府は荷待ち時間の短縮など新たな数値目標を設定した。

物流のひっ迫に対応するため、国土交通省、経済産業省、農林水産省による合同会議が行われ、トラックドライバーの業務効率化に向け、2028年度までの新たな数値目標をとりまとめた。

推計では2030年度にはトラックの輸送力が現在より34%減少するとの試算もでており、政府は数値目標として、1日当たりの荷待ち、荷役にかかる時間を現在の平均3時間から2時間に短縮することや、荷主側が1回の受け渡しに必要な時間を1時間以内に短縮すること、1台ごとの積載率を現在の平均38%から44%に引き上げることを掲げた。

 2024年4月、トラックドライバーの時間外労働に上限(年960時間)がかけられることに伴い、トラックドライバーの人手不足が以前から問題視されていた。

政府は今年2月の閣議で、高速道路を走行するトラックの最高速度を80キロから90キロに引き上げる政令を閣議決定した。輸送効率を向上させ、ドライバーの人手不足解消のための対策を講じたが、根本的な解決には至らなかったようだ。

経済産業省によると、トラックドライバーの年間所得額は全産業と比較し、大型トラック運転者で約5%低く、中小型トラック運転者で約12%低いとした。また年間労働時間も同様に、大型トラック運転者で432時間(月36時間)長く、中小型トラック運転者で384時時間(月32時間)長いとした。

またその上で、ドライバー不足を解消するためには、全ての産業の平均的な労働時間と賃金がドライバーにも適用されることが必要だとした。

農林水産省は、農林水産物・食品の流通では、その輸送の9割以上をトラック輸送に依存しており、長距離輸送や手荷役作業が多い、また荷待ち時間が長いなどの課題があるとした。

これらの問題を受け、物流確保に向けた取り組み推進のため、長距離輸送を複数のドライバーで分担し、リレー方式で輸送する「中継輸送」でドライバーの長距離輸送を削減させたり、荷下ろしの際、待ち時間が生じていた問題も「トラック予約システム」の導入で削減を進めていくとした。

また複数の荷主が同じ配送先へ荷物を積み合わせて配送する「共同輸送」による積載効率の向上を図ったり、トラック等の自動車による貨物輸送から環境負荷の小さい鉄道や船舶による輸送へ切り替える、「モーダルシフト」を進めるとしている。