自衛官の処遇改善へ 関係閣僚会議発足 石破氏「万全の体制構築」

2024/10/25
更新: 2024/10/25

25日、総理大臣官邸で「第1回自衛官の処遇・勤務環境の改善及び新たな生涯設計の確立に関する関係閣僚会議」が開催された。石破首相は、自衛官の処遇改善に向けた取り組みの重要性を強調し、「自衛官の皆さんが、国家にとって極めて重要な任務である国防に誇りと名誉を持って専念できるよう、この会議での議論を踏まえ、万全の体制を構築してまいります」と述べた。

また、「関係省庁が連携して取り組むべき方策の方向性と、令和7年度予算に計上すべき項目を年内に取りまとめる」とし、具体的な対策の策定を進める考えを示した。

会議では以下の3つの項目が検討された。

  1. 処遇の改善
    • 任務の特殊性に見合った給与体系の見直し
    • 長年の功績に対する叙勲などの制度改善
  2. 生活勤務環境の改善
    • 若い世代に合った生活勤務環境の整備
  3. 新たな生涯設計の確立
    • 再就職支援の強化による将来の不安解消

自衛官の人員確保に課題-今年も厳しい見通し

自衛隊の人員不足は深刻な状況にあり、2023年度の募集では2万人の目標に対して、採用者は1万人にとどまった。これにより、24.7万人の定員に対して2万人の欠員がさらに4千人増加した。2024年度予算では年間充足率を約92%と見込んでいるが、抜本的な対策が講じられない限り、状況の悪化が懸念される。

昨年度の採用計画は1万9598人だったが、実際に採用されたのは9959人で、計画の51%にとどまった。この採用率は自衛隊創設以来、最も低い水準であり、人材確保が喫緊の課題となっている。

さらに、中途退職者の数も増加傾向にあり、2009年度以降約4千人前後で推移していたが、2019年度には4659人で、2021年度には5千人を超え、昨年度は6258人に達し、過去30年で最多を記録した。4年間で中途退職者が34%も増えた。

中谷防衛相 自衛官の声を吸い上げる方針

中谷元防衛相は、今回の会議で「各自衛隊の声をしっかり吸い上げることが重要だと認識している。その上で、関係閣僚会議の場をはじめ、自ら率先して関係省庁と調整し、よく議論を進めていく」と述べた。現場の声を反映した対策を講じることで、自衛官の処遇改善と人員確保の問題解決に向けた具体的なアプローチを目指す考えを示した。

自衛官の人員不足問題は、少子高齢化の進行による人手不足が影響している。これを解消するための方策として、給与の引き上げや勤務環境の整備、再就職支援の強化など、総合的な対策が求められている。今後の関係閣僚会議での議論が、どのような具体策に結びつくのか注目される。