社会問題 「当局は何を恐れている?」

【動画あり】捕まれば「逮捕」 それでも我が道を行く若者たち 「コスプレ禁止」の上海ハロウィン

2024/10/28
更新: 2024/10/28

 

もうすぐ「ハロウィン」。去年はあまりに「派手にやらかした」ためか、「魔都」という古からの異名を持つ上海では、今年は「コスプレ禁止」の方針だ。

「コウモリ」や「骸骨」などホラー系だけでなく、「財神爺(財をもたらす神)」といった中国の伝統的なキャラの仮装も禁じられている。

ネット上や路面店においても、「ハロウィン」の言葉や関連要素の使用が禁じられるなど、今年の上海においては「ハロウィンイベント」は厳しく制限されている。

 

「派手にやらかした」去年の上海ハロウィン。防疫要員の「大白」に扮する市民(左)や、「白紙革命」を連想させる、体じゅうに「白い紙」を張り付けた市民(右)(SNSより、2023年ハロウィン、上海)

 

パトロール強化

2024年ハロウィン前夜、市民によるコスプレをやめさせるため、上海の町では警察官や警備員、私服警官、パトカーがうようよしている。

コスプレ市民を見つけると、まずは「やめるよう」説得され、その場で仮装を脱いでもらう。自分で脱がない場合は、当局者が強引に脱がせる。もちろんここで反抗すれば警察署へ連行される。町中で行うライブ配信も強制的にやめさせられるのだ。

 

コスプレ市民をなくすべく、上海の町では警察官や警備員、私服警官、パトカーがうようよしている(動画よりスクリーンショット)

 

捕まれば「逮捕」、それでも、我が道を行く

しかし、自由と刺激を求める今時の若者を止めることは、そう簡単ではない。

なお、上海に集まった若者の多くは他所の省から駆け付けているという。

「ハロウィン当日は相当厳しいだろうから」と、コスプレイヤーたちの「行動」が前倒しになった。

26日の昼から上海の町には各種ハロウィンの仮装をした若者が出歩いていた。夜になると「中山公園」や「中山路(通り)」などの「コスプレ・スポット」にはさらに大勢の若者が集まり、ハロウィーンを祝った。(翌日『中山公園』は閉鎖された)

 

「自由の女神」の コスプレをした女性が「自由~!」と叫ぶ声が、上海の街に響き渡り、群衆は歓声で応える一幕もあった。

 

(『自由~!』を叫ぶ『自由の女神』、上海)

 

群衆のなかに「混じる」私服警官や小粉紅(愛国主義者)らが通報する姿も動画に映っていたが、それでも「ショー」は続行され、仮装者が絶えず捕まるも、後に続く人は絶えない。

なかには、運悪く捕まってパトカーに乗せられる前に、観客に向かって「手を振って別れを告げる」パフォーマーもいる。その顔には「悪いことをした」とった反省の色は全く見られず、むしろ、ある種の「誇りを持っているのかな」とすら感じられる。

パトロールする公安や警備員を避けながら、そして追いかけ回されながらも、コスプレを続けようとするその執念には、感服せざるを得ない。

 

画像(左)は上海の町でパトロールする警官。画像(右)は公安に捕まってパトカーに乗せられる前に観客に向かって「手を振って別れを告げる」パフォーマー(動画よりスクリーンショット)

 

コスプレは罪なのか?

 

パフォーマーが逮捕される現場では、「若者たちはどんな罪を犯したというのか? なぜ捕まる?」「あんたら(公安)暴力的過ぎるよ!」と公安たちと口論する市民の姿も見られた。

「なぜ捕まえる?」

「当局は何を恐れている?」

といった怒りの声はネット上にも溢れている。

 

(捕まる若者たち、上海)

 

中国共産党当局が、ハロウィンを禁じる理由については、表向きでは「西洋文化に対するボイコット」となっているが、実際には「政権の安定維持」とされる。

というのは、昨年のハロウィン期間中、上海の若者による「当局への皮肉」や「社会風刺」ともとれる様々な仮装が世界中で話題になったからだ。

当局の防疫政策を皮肉るために、防疫要員の「大白」に扮する市民や「白紙革命」を連想させる、体じゅうに「白い紙」を張り付けた市民など、当局が冷や汗をかくような、現代中国の世相を反映していると見られる仮装が多く、世界中に披露されたのだ。

それらは、そのまま中国共産党体制に対する痛烈な風刺であり、為政者を茶化して揶揄するものとなった。

監視カメラ、防疫要員、くたびれ労働者などに扮する市民(SNSより、2023年ハロウィン、上海)

 

 

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!