「母を返して」
東京在住の会社員、龔(きょう)さんは訴えている。
龔さんの母親の姚佳秀(よう・かしゅう)さんは、中国四川省出身で、1995年から中国の伝統的な気功、法輪功を修煉している。今年9月20日に、蘆州市公安局江陽支局の警察に不当連行された。現在も家族との面会は許されていない。
龔さんによると、5年前、母親は嫌がらせを避けるため、やむを得ず家を離れて定住先もなく苦しい日々を送ることになった。以来、母親と一度も会っていない。
「今回母親が不当に拘束されたと聞いたとき、大変な衝撃と悲しみに襲われた。長年の迫害に加え、長期間の逃亡生活も大変厳しいものだったが、再び拘束されることは、母自身にも私たち家族にとっても大きな打撃だ」
姚佳秀さんは1995年に、9つの病気を抱え、生死の境をさまよっていた。人生の将来に希望を見いだせず、気性が荒く、心も狭く、家族への配慮も欠けていた。夫とは頻繁に口論し、離婚話にまで発展することもあった。藁にもすがる思いで気功を探して法輪功を学んだ結果、奇跡が起きた。
法輪功を修練し始めてから、心身に大きな変化が起きた。健康を取り戻し、病は完治し、家庭も円満になった。どんな人にも親切に接するようになり、親族や友人、近所の知人たちは、姚さんが法輪功を修煉しだしてから後の変化に驚き、彼女を良い人だと称賛している。
しかし、姚佳秀さんはその信仰を理由に中国共産党(中共)当局から厳しい弾圧を受けることになる。
法輪功は、李洪志氏が1992年5月に伝え始めた伝統的な気功修煉法で、「真・善・忍」を理念としている。病気治療及び健康増進に顕著な効果があり、家族・知人の口コミで短期間に人気を博した。中国体育局の統計によると、中共が法輪功に対する弾圧を始める前には、法輪功学習者は7千万〜1億人にのぼるとされていた。
しかし当時の中共党首、江沢民は法輪功のあまりの人気に嫉妬し、自身の権力基盤が脅かされると思い込み、弾圧を断行した。弾圧を正当化させるため、中共は大量のプロパガンダを流し、法輪功の名誉を傷つけると同時に、国際機関やメディア、外国政府に対しても当局の立場に同調するよう圧力をかけた。
姚佳秀さんは、1999年10月15日、11月8日の2回にわたって北京に赴き、「法輪功は無実だ」と訴え、攀枝花市公安局仁和支局に2回も不法拘留された。同年12月23日、請願するために攀枝花市政府へ行き、警察に拉致され、攀枝花市留置場で1か月間不法に拘留された。
その後も信仰をあきらめない姚さんは、2回投獄され、拷問と虐待を通じて強制的に改心させる洗脳施設や精神科病院に入れられ、中枢神経系に損傷を与える薬物を注射された。釈放された後も警察などに絶えず嫌がらせをされた。
2019年8月頃から、姚佳秀さんは当局の拘束といやがらせから逃れるために各地を転々とするホームレス生活を送っていた。
法輪功に対する迫害はすでに25年続いている。法輪功を修煉しているという理由だけで、数百万人の学習者たちが逮捕や拉致、監禁され、拷問を受け、さらには臓器の生体強制収奪というおぞましい被害にも遭っている。
国際社会も中国共産党による法輪功迫害を厳しく非難してきた。
アメリカ下院は今年6月25日に「法輪功保護法案」を全会一致で可決した。同法案は、中共による法輪功への迫害を問題視して法輪功学習者からの生体臓器収奪を非難し、それに関与した者には財産の凍結や米国への入国を禁止するといった制裁を科すものだ。上院では、同じ内容の法案がマルコ・ルビオ議員によって提出された。
台湾の頼清徳総統は2019年に、法輪功への支持を明言している。「法輪功を支援することは人権を守ることだ。台湾は民主主義陣営の一員としての立場を堅持し、共産主義勢力の拡大を阻止するとともに中国で民主主義を推進すべきだ」と述べた。
日本では、東京地裁は25日、法輪功を習い、迫害の恐れから難民認定を求めていた72歳の中国籍男性について、前回、不認定とされていたものを取り消し、難民として認定するよう命じた。
龔さんは現在、公安局に電話をかけて母親の釈放を要求している。今後は議員に会い、マスコミに報道してもらって、さらに多くの人々に母や他の法輪功学習者が受けている不当な迫害への関心を呼びかける予定だと話した。
今年は4人の在日中国人の家族が法輪功を修煉しているだけで不当逮捕されている。中国における臓器移植を考える会(SMGネットワーク)の代表を務める丸山治章逗子市議は「私たちが諦めないで、できることをやっていくしかない、続けるしかない」と述べた。
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