昨年度法人税申告件数・所得額 ともに過去最高 

2024/10/30
更新: 2024/10/30

国税庁が発表した令和5年度の法人税申告状況および民間給与実態統計調査によると、日本の経済動向が鮮明に浮き彫りになった。

法人税に関する申告件数は318万件となり、申告所得金額の総額は98兆2781億円に達し、過去最高を記録した。申告税額の総額も17兆3924億円に達し、前年度比でそれぞれ15.6%(13兆2675億円)と16.7%(2兆4825億円)増加した。いずれも4年連続の増加を示しており、企業の業績向上が法人税収増加に寄与した形だ。

源泉所得税は減少、所得種別で明暗

一方で、源泉所得税等の税額は21兆3351億円で、前年度から4807億円(2.2%)減少した。給与所得に関する源泉所得税は4738億円(3.8%)増加したものの、配当所得に関する税額は1兆5764億円(25.9%)減少しており、所得種別によって異なる動向が見られた。企業の配当水準がやや下がり、投資収益に対する課税収入が減少していることがうかがえる。

平均給与は増加、賞与は減少傾向

また、国税庁が9月に発表した令和5年分の民間給与実態統計調査によると、1年間を通じて勤務した給与所得者の平均給与は460万円で、3年連続で増加していることが明らかになった。

労働市場の改善が反映され、賃金水準は上昇傾向にあると見られる。一方で、平均賞与は71万円と3年ぶりの減少に転じ、前年からの下落が見られた。企業の利益増加が必ずしも賞与支給額に反映されていない現状が浮かび上がった。

法人・個人双方に現れた経済の変化

これらの統計は、日本の経済が全体として回復基調にある一方で、所得種別や賃金構成に違いが生じていることを示している。法人税収の増加は企業の業績改善を反映する一方、配当減少や賞与減少は、経済成長が必ずしも広く個人の可処分所得に影響していない現状を表している。