マスク氏の有権者に100万ドル 州裁判所が容認 検事が差し止め要求も

2024/11/05
更新: 2024/11/05

イーロン・マスク氏とトランプ前大統領を支える特別政治活動委員会(スーパーPAC)「アメリカPAC」が100万ドル(約1億5000万円)を有権者に贈る行為をめぐり、米東部フィラデルフィア州検察当局が差し止めを求めたものの、判事は却下した。

4日、フィラデルフィア郡裁判所のアンジェロ・フォグリエッタ判事は、100万ドル贈与について、フィラデルフィア市のラリー・クラスナー検事(民主党)が求める差し止め要求の却下を言い渡した。

トランプ氏支持を明言しているマスク氏は、「アメリカPAC」を通じ、ペンシルヴェニアやジョージア、ネヴァダ、アリゾナ、ミシガン、ウィスコンシン、ノースカロライナの激戦7州で、憲法支持の請願書に署名した登録済みの有権者に、11月5日まで毎日1人に100万ドルを贈与している。

これに対し、クラスナー検事は「違法な宝くじ」と非難。消費者保護に関する州法に違反しているとして、ペンシルベニア州フィラデルフィア地区検察はマスク氏を相手取り、「100万ドル贈与」の差し止めを求める民事訴訟を州裁判所に提起していた。

マスク氏とアメリカPACは、裁判が大統領選に関するものだという理由で、審理を連邦地裁に移すよう求めていたが、ペンシルヴェニアの連邦地裁は1日、州地裁への差し戻しを命令した。

アメリカPACのクリス・ゴーバー弁護士は、マスク氏はランダムに選ぶと表明していたものの、ランダムではなく当選者を選んでいたと明らかにしたうえで、「当選者は偶然によって選ばれるわけではない。従って宝くじではない」と述べた。

ゴバー氏によると、当選者は政治活動委員会のスポークスマンを務めるという契約関係があったという。

マスク氏は、フィラデルフィア市役所内にある法廷には出席しなかった。

これまでのところ、ペンシルベニア州から複数人かが贈与の一環として当選している。 

クラスナー事務所の代理人であるジョン・サマーズ弁護士は、マスク氏の透明性の欠如が何千人ものフィラデルフィア市民をだましたと主張。一方、アメリカPACのアンディ・テイラー弁護士は、クラスナー検事はマスク氏が求める請願書への署名を阻止することで、核心的な政治的言論の侵害を求めていると述べた。

テイラー弁護士は、当選者の選考プロセスは、抽選ではなく、求人に応募するようなものだという。

それに対し、サマーズ弁護士はテイラー弁護士に対し、この件は言論の自由とは無関係であり、むしろ詐欺行為とみなすべきだと述べた。

ワシントン特派員 サム・ドーマンは、エポックタイムズの裁判と政治を担当するワシントン特派員です。X で @EpochofDorman をフォローできます。