「年収103万円の壁」見直しなど 自公と国民民主初協議

2024/11/08
更新: 2024/11/08

国民民主党は衆院選で主要公約に掲げた「103万円の壁」の見直しが話題になっている。この見直しは、所得控除額を引き上げることで、手取り収入の増加を図り、労働時間の調整による人手不足の改善を目指すものである。政府は、国と地方で約7兆6千億円の減と試算しており、減収分の財源確保が課題となるという見方を示した。

8日、自民・公明両党と国民民主党の政務調査会長による経済対策に関する協議が始まった。「103万円の壁」対策が主な議題となり、自民党もこの要望を検討する姿勢を示している。11日には石破首相と国民民主党の玉木代表が会談を予定しており、今後の協議に注目が集まる。

年収の壁」とは、日本で特定の年収を超えると、税負担や社会保険料の増加、あるいは家族の社会保険上の扶養から外れるなどの影響が発生し、結果として手取り収入が減少する現象とその年収ラインを指す。

「年収の壁」とは?

主な年収の壁には、以下のようなものがある。

  1. 103万円の壁:103万円とは、日本の所得税法上の非課税限度額である。年収が103万円以下であれば所得税が課されないため、多くのパートやアルバイトの労働者がこの限度額に収入を抑えることで、所得税の負担を避ける傾向がある。
  2. 106万円の壁:従業員51人以上の企業で働くパートタイム労働者が年間106万円以上を稼ぐと、厚生年金と健康保険の加入対象になる。

*106万円の壁の適用は以下の条件を満たす場合に生じます。

年収が106万円以上

週20時間以上働く

勤務先が従業員51人以上の企業

勤務期間が1年以上の見込み

学生でないこと

  1. 130万円の壁:年間収入が130万円を超えると、配偶者の健康保険上の扶養から外れる。自身で健康保険や年金を支払う必要が出てくるため、働く側の負担が増える。
  2. 150万円の壁:政府が2018年に導入した配偶者控除の拡大により、年収150万円までであれば、配偶者が収入を得ても税制上の優遇を受けやすくなっている。

年収の壁は、特に扶養内で働くパートタイム労働者や専業主婦・主夫に影響を与え、就労時間や働き方の調整が必要になることが多い。

「103万円の壁」を超える場合の負担の目安

  1. 所得税の負担
    年収が103万円を超えると、超えた分に対して所得税がかかる。所得税の税率は5%から始まるので、例えば178万円の場合、103万円を超えた75万円に対して5%の所得税がかかり、「約3万7500円」の負担増となる。
  2. 住民税の負担
    103万円を超えると、住民税の課税対象にもなる。住民税の税率は地域によるが、一般的に10%程度だ。また、「均等割」という固定費用(約5千円)があるため、年収が178万円であれば、超えた分の10%の7万5千円に均等割5千円が加算され、合計で「8万円程度」の負担が増える。
  3. 社会保険料
    103万円の壁を超えるだけでは、厚生年金や健康保険の加入義務は発生しない。社会保険料の負担が発生するのは、年収が「106万円の壁」を超え、労働時間や日数も基準を満たす場合だ。その場合、厚生年金と健康保険の加入が必要となり、収入の10%以上の保険料を支払う必要が出てくる。

a.健康保険は地域によって異なっているが、一般的に約10%前後だ(雇用者負担と折半後)。年収178万円の場合、健康保険の年間負担額は178万円 × 10% ÷ 2  = 8.9万円となる。

b.厚生年金保険料率は18.3%(折半後は約9.15%)で、年間約12万4250円

c.雇用保険料は約0.6%で、年間約1万680円

手取りは155万6070円になる。個人が負担する社会保険料は21万3250円になる。