党内の権力基盤が弱体化? 中共党首が空挺軍司令部を視察した真意は

2024/11/11
更新: 2024/11/11

ニュース分析

中国共産党の習近平党首は11月4日、湖北省孝感市にある人民解放軍(中共軍)空軍の空挺軍司令部を視察した。中国共産党(中共)の公式メディア新華社は、習近平が空挺部隊に対して訓練を強化し、戦闘準備を進めるよう指示したと伝えた。

空挺軍の主な任務は「台湾解放」であり、即応部隊として重要な役割を担っているという。空軍は台湾統一を目指す習近平の計画において重要な役割を担っているとみられる。

中共国営メディアによると、視察には、中央軍事委員会副主席の何衛東や新任の空軍司令官である常丁求、政治委員の郭普校、中央軍事委員会弁公室主任の房永祥が同行した。

時事評論家の楊威氏は11月6日付の大紀元中国語版に掲載された記事で、新華社の報道では、習近平の今回の発言に、これまでの視察とは異なり、「軍に対する党の絶対的な指導」や「党中央委員会と中央軍事委員会の指揮に従う」といった言葉、さらには「忠誠」への言及がなかった点に注目した。楊氏は、「これは非常に微妙な変化だ。習の発言は軍の指揮権について触れなかった。では、現在軍は誰の指揮を受けているのだろうか?」と指摘している。

今回の視察には習近平に忠実とされる張又侠の姿はなかった。最近、軍事委員会の副主席の張又侠が公の場で注目を集めたことから、党内の内紛の結果として習近平が張又侠に取って代わられるのではないかという憶測が広がっている。10月25日、習がBRICS首脳会議に出席後モスクワから帰国する途中、張はベトナムを訪問し、ハノイで国家元首級の歓迎を受けた。

さらに、10月28日に開催された中共政治局会議の公式声明には、「民主集中制を厳格に実施し、指導者の昇格・降格を促進する」という異例の表現が含まれていた。中国問題の専門家によれば、これは権力の移行を示唆している可能性があるという。

中国の古典的な予言書である「推背図」に

「有一軍人身帶弓,只言我是白頭翁」

(ある軍人が弓を持っており、私は白頭の翁(老人)と言っている)

「東邊門裡藏金劍,勇士後門入帝宮」

(東の門の中に金の剣が隠れていて、勇者が後ろの門から皇宮に入る)

という節がある。これは誰かがクーデターを起こし、習近平が暗殺されるという意味だとされている。

「軍人が弓を持っている」という文から、「張」という文字には、部首に「弓」の文字が含まれており、さらに勇士が皇宮の裏口から入ることから、この人物は勇敢であり、俠士であるとされている。

そしてこの「推背図」の予言から、クーデターを起こすのは、現在の中共軍委員会の副主席、張又俠であるとの声が高まっている。

時事評論家の「驚濤拍岸」は「習近平の側近である蔡奇の失踪に加え、張又俠は何偉東に交代した。中南海(中国共産党中央本部)の情勢はまた不透明で、変化するかもしれない」と述べている。

台湾侵攻への懸念と歴史的視察の意味

習近平はまた同日、湖北省雲夢県博物館を訪問し、秦(紀元前221~206年)の時代の竹簡群「睡虎地秦簡」を鑑賞した。

米国在住の時事問題評論家、李林一氏は11月6日、大紀元に対し、習近平が歴史的な遺跡を視察する際には政治的メッセージが込められているとし、特に自身が危機的な状況に置かれているときに行われることが多いと語った。

「睡虎地秦簡」には、戦地の兵士が家族に物資を求める手紙が含まれている。

時事評論家パイアン氏は、「睡虎地秦簡」は「台湾侵攻は兵士やその家族から支持を得られず、物資補給も追いつかない」という習近平への暗示として受け取れると述べている。中国経済の低迷を背景に、「最終的には徒労に終わるだろう」という見方を示した。