社会問題 夜の街を駆け巡る自転車大軍!

【動画あり】中国の大学生大軍による「騎行ブーム」 当局は大慌て

2024/11/12
更新: 2024/11/12

中国の大学生を中心とした集団「(自転車に乗った)騎行(きこう)ブーム」がとても熱い。熱すぎて、ついには中国共産党(中共)当局から取り締まられるようになったほどだ。

「騎行行動」が始まったのは今年6月、当時、40キロも離れた省内の別の都市・開封市のスープ餃子を食べたくなった鄭州市(河南省)の女子学生4人が自転車に乗って開封市を目指したのだ。学生たちはその時の様子をSNSにシェアして話題になり、他の学生たちもこれを真似るようになった。

それが今月になると「騎行ブーム」は急拡大し、9日深夜には鄭州市の大学生(20万人と言われている)大軍が自転車に乗って開封市を目指して夜の街を駆け巡った。その車列は数十キロにもび、実に壮観な光景が広がっていた。

 

(河南省鄭州市の大学生大軍による「騎行ブーム」)

 

関連動画は中国SNSで猛拡散され、「騎行」は瞬く間に中国全土に広がり、北京、南京、西安、武漢など各地の大学生もこれに追随した。

なかには、どうしてもその行列に加わりたくて、鄭州行きの列車に乗る他省の学生も続出した。

実際、「騎行」参加者は大学生に限らず、各界の若者や退役軍人も含まれており、なかには 「自由 」の旗を掲げる「勇者」もいた。

 

(「騎行」の様子、「自由 」の旗を掲げる大学生。2024年11月)

 

「これが『開封』ではなく天安門広場を目指していたら大事件だ」といった声が多く上がっているなか、案の定、「天安門広場を目指そう」とする北京周辺の大学生たちが実際に現れている。しかし、天安門広場周辺では交通規制が敷かれているため、迂回を余儀なくされたそうだ。

「群衆の集団行動」には普段から神経を尖らす当局である。「白紙運動(革命)」の再来を恐れたのか、当局はついには「騎行」を「政治運動」と位置づけて、禁令を出した。

すると、大学生たちは「自転車がダメならば」と、今度は、夜に「集団ランニング」を始めた。

 

「騎行」を禁じられても、「開封目指して」ランニングする鄭州の大学生たち、2024年11月9日深夜(動画よりスクリーンショット)

 

(「騎行」を禁じられても、「開封目指して」ランニングする鄭州の大学生たち、2024年11月9日深夜)

 

この事態に、当局は本腰入れて取り締まるようになり、当局からの指示で、各地大学は学生の外出を禁じ、地方当局も交通規制を始めた。

町のシェアサイクル企業までもがこれに協力し、シェアサイクルは所定区域を超えての利用ができなくなったのだ。

「学生たちはストレス発散のために夜の間に行動しているだけなのに、なぜそれもダメなのか。当局は何を恐れているのか」とネット上では非難が殺到している。

 

(退役軍人も加わる「騎行ブーム」)

 

中国の学生は窒息しそうな「囚人」

このブームについて、中国のある大学の「補導員」(大学生指導役)は次のように評する。

「就職率は低いし、学生たちは将来に希望を持てないでいる。そして、洗脳漬けの大学生活を強いられ、言動を厳しく制限され、ネット上においても言論の自由などない。そのため学生たちはあまりに憂うつだ。だからああして自分たちの内なるストレスを発散しているのだ」

「しかし中共当局は学生の集まりを恐れている」

この「補導員」によると、24時間体制で監視できるアプリを学生の携帯にインストールさせるなど、今の中国の大学は「頭がおかしい」くらい、学生に対して異常に厳しい制限を行っている。学生がどこへ行き、そこで誰と何を話したのか全て掌握される、また学校が求める洗脳教育を受けなければすぐにバレてしまうのだという。

「現代中国は巨大は監獄であり、学生たちは囚人だ。そして我々補導員はそれら囚人を看守する奴隷だ」と補導員は嘆いた。

 

中国国内大学卒業生の就職活動イベントの様子(Getty Images)

 

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!