化粧品大手 中国事業の低迷で業績悪化

2024/11/15
更新: 2024/11/15

今年は中国事業の不振により、複数の日本の化粧品大手企業が業績の悪化に直面している。

コーセーは11日、2024年12月期の連結純利益予想を前期比31%減の80億円と下方修正した。これは、中国市場での店舗閉鎖や在庫調整など、構造改革費が影響したためである。特別損失として45億円が計上され、中国国内の不採算店舗の閉鎖や在庫処分などによる事業整理損として、営業利益も従来の200億円から180億円へ引き下げられた。

一方、資生堂も同様に、中国やトラベルリテール(免税)事業での売上低迷が続いており、2024年度の純利益は前年から72%落ち込む見込みだと発表した。1〜9月期の売上はほぼ横ばいの7227億円だったが、純利益は96%減の7億円に留まった。中国市場での消費者の節約志向による高価格帯と低価格帯の二極化が影響している。

花王の化粧品事業も2024年における売上が前年同期比で1.1%減の1732億円となった。日本国内では「KANEBO」「ALLIE」「ソフィーナiP」などのブランドが好調だったものの、中国では市場停滞や競争激化を受けて出荷抑制を行い、前年同期を大幅に下回った。

また、欧米の大手化粧品ブランドも同じく中国市場での業績低迷に直面している。

エスティ・ローダーも、2024年6月期において売上高が前期比2%減となり、中国のプレミアムビューティー分野の軟調さが大きな影響を与えた。

ロレアルグループも2024年の第3四半期までに、グローバル売上が前年同期比6.0%増となる中、北アジア地域(中国を含む)でのみ売上減少が見られたことが報告されている。

各社とも、依然として成長領域として注目される中国市場に依存してきたが、現地経済の停滞や競争の激化、在庫問題などが業績に大きな影響を与えている。今後の戦略としては、中国依存を減らし、新興国市場(グローバルサウス)へのシフトが視野に入っており、各企業の対応が注目されている。