中国では当局による「消防検査」「洋服品質検査」などに対抗して店主らが一斉にシャッターを下ろす事態があちこちで起きている。
つい最近も、枕を売る業者に「10万元以上(約200万円)」の罰金を科されたとする噂が商販の間で流れており、「ほらみろ当局のいわゆる『検査』にいったん協力すれば、どうせ不合格になる。やつらの目的は罰金にあるからな」といった非難の声が高まっている。
当局の検査隊の動向は、販売ネットワーク内で共有され、いざ「来る」とわかれば、一斉にシャッター下ろすのだ。「店閉めるのは、なにも検査をクリアできないから逃げているのではない、当局による『検査』を名目とした強奪から逃げているのだ」と店主たちは言う。
この事態に世論も同情的である。
武漢市
11月29日の湖北省武漢市(ぶかんし)にある著名な洋服卸売市場の「漢正街(かんせいがい)」でも、店が一斉に「臨時休業」に入った。
政府の市場管理部門の検査隊による「ダウンジャケットの品質の抜き打ち検査」が行われるという知らせを聞きつけた店主らが一斉にシャッターを下ろしたのだ。
(当時の様子)
広東省
同じような事態は広東省、江蘇省(かんとんしょう・こうそしょう)などでも起きている。
広東省では「当局による消防検査」、江蘇省では「当局によるダウンジャケットの品質検査」などの抜き打ち検査の実施と、不合格企業に対する高額な罰金と処分に関する告知が出ていた。
11月25日の明け方の広東省潮州市(ちょうしゅうし)・汕頭市(さんとうし)地区で撮影された動画のなかにも、当局による「奇襲検査」に気づいた店主らが、一斉にシャッターを下ろす場面があった。
当局の「検査人員」一行に、いち早く気づいた店主のなかには「略奪者が来るぞ!」と大声をあげて周囲に危険を知らせる者もいたそうだ。
(当局による「奇襲検査」に気づいた店主らが一斉にシャッターを下ろす場面、2024年11月25日明け方の広東省潮州市・汕頭市地区)
江蘇省南通市(なんつうし)
(当時の様子)
奇抜な「休み理由」
いっぽう、ネット上では当局の消防検査を回避するために臨時休業した広東省など現地の商店や工場の各種奇抜な「休み理由」を述べた貼り紙が話題になっている。
「お化けが怖いので1日休みます」
「オーナーがイライラしてるから休みます」
「お茶を盗まれたから休みます」
「豚足を盗まれたから1日休みます」
「失恋したから1日休みます」
「なんか疲れちゃったから休む」
「多大なプレッシャーのため 休む」
「じいじいを病院に連れていくから営業中止」
「用事があるから休む」
「妻とケンカしたから1日休みます」
「妻とまだ仲直りできていないから、もう1日休む」
「気候変動のため、工場全体3日間お休み」
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