金融庁は2025年1月から、全国の金融機関を対象にマネーロンダリングや詐欺などの対策強化に関する調査を開始した。この動きは、金融機関の口座が、不正利用される事例が増加していることを受けてのものである。NHKなど大手メディアが報じた。
マネーロンダリングとは、犯罪で得た資金を正当な取引で得たように見せかけたり、複数の金融機関を転々とさせて資金の出所を不明にしたりする行為を指す。近年、SNSを利用した投資詐欺やロマンス詐欺など、新たな形態の金融犯罪が急増しており、これらの犯罪でも金融機関の口座が悪用されている。
金融庁は2024年8月に全国の金融機関に対して対策強化を要請したが、特に投資詐欺の被害数が前年の約4倍に増加するなど、問題は深刻化している。そのため、金融庁は、各金融機関が実際に対策強化に取り組んでいるかを確認するための調査実施を決定した。
この調査は、2024年3月までに、金融機関がマネーロンダリング対策のガイドラインに沿った態勢整備を完了することを求めていた金融庁方針に基づいている。金融庁は、犯罪組織やテロリストによる日本の金融システムの悪用を防ぐため、官民一体となった取り組みが必要だと考えている。
専門家は、この調査が金融機関のリスク管理態勢の向上につながり、ひいては金融犯罪の抑止に寄与することを期待している。一方で、金融機関側には、顧客の利便性を損なわずに、厳格な本人確認や取引監視を行うという難しい課題に直面している。
金融庁は今後、調査結果を分析し、必要に応じて追加の指導や追加規制の検討を行う方針だ。この取り組みが、日本の金融システムの健全性と安全性の向上にどのような影響を与えるか、注目が集まっている。
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